{1A1A6659-C782-4BBD-8EF9-B05035DAFDFD:01}

モネの「テムズ川のチャリング・クロス橋」

山形美術館の2階常設展示室で真っ先に駈け寄った絵です。隣に「睡蓮」もあったのですが、

このピンクとオレンジと紫の発光にとにかくやられた。ネオンに弱いおじさんのようなものか?







宮城県美術館とか、東京都美術館とか、「立」のつかない美術館もあるし、岩手県立美術館とか青森県立美術館とか、「立」のついた美術館の方が多いとは思うけれど。


なんで山形美術館なんだろうとずっと思っていました。山形県美術館でもないし、って。


山形美術館は公立ではないのですね。
Wikipediaからの引用ですが、


山形新聞グループの総帥として君臨した服部敬雄の影響下、民間主体で山形県と山形市が全面的に協力する財団法人による運営により、「公立美術館より一段と幅広い県民の美術館」という理念のもとに、開館に至った。


服部存命中は、収蔵品が山形新聞、山形放送、山形グランドホテルなどのいわゆる服部コンツェルン企業に優先的に無償貸し出しされ、美術館の私物化との批判も出た。また、開館20周年記念に改築されることになり、県、市から補助金を受けられることになったが、着工直前に服部の一声で全面新築に突如変更された上、補助金についても実質的な審議がなされないままに増額された。

以上のような経緯により、山形県内においては、県立美術館が存在しない。

同館は、開設時には日本画主体の美術館であったが、 1985年の新築オープンの際、荻須高徳の指導で下で収集した服部コレクションや吉野石膏からの寄託作品などから、東北有数のフランス近代絵画美術館として広く知られることとなった。


きのうもらった山形新聞の山形美術館50周年記念の特集号外ではさすがにその経緯は省かれていたのでしたが、

だから公益財団法人山形美術館なんですね。納得です。

企画展より常設展を見る方が時間がかかったという(笑)。


長谷川コレクション室
山形銀行創業家である長谷川家と殖産銀行(現:きらやか銀行)の経営に携わった長谷川家の、両長谷川家が多年にわたって収集した美術品を、その子息らから寄贈を受け展示している。江戸時代の狩野派、文人画、円山四条派を系統的にたどることのできる内容となっている。


こちらでは与謝蕪村の元祖エッセイコミックみたいな奥の細道紀行の絵巻がおもしろかった。

新海竹太郎・新海竹蔵彫刻室
山形市出身の近代彫刻の先駆者の一人である新海竹太郎とその甥である新海竹蔵の作品を展示している。


点数も多く、等身大かそれ以上の大きさのものがあり、あえて言えば、もう少し広い展示室であってほしい…。ちょっと江戸川乱歩の少年探偵団シリーズみたいに彫刻が動き出したら怖いな、と。

服部コレクション-20世紀フランス絵画
1991年(平成3年)亡くなった服部敬雄館長の業績を讃え、フランス絵画60点とロダン、マイヨール、ブールデルの彫刻4点を服部コレクションと名づけ展示している。


吉野石膏コレクション-珠玉のフランス近代絵画
山形県南陽市において、かつて操業していた吉野鉱山が社名の由来である吉野石膏株式会社が収集した美術品を寄託を受け展示している。バルビゾン派、印象主義、キュビスム、抽象絵画、エコール・ド・パリの作品を見ることができる。

このフランス近代絵画のコレクションの充実がよかったー。


美術館ボランティアの先輩から、山形美術館はいいわよ、とお聞きしていたんですが、山形まるごとマラソンの後に寄らなかったんですよね。




{6090D5DA-ABE9-46A1-A800-D84089804F55:01}

キスリングの「背中を向けた裸婦」

キスリング、ここ2、3年であちこちの美術展で1、2点ずつ見てきたのですが、ずっともう少し現代に近い作家かと思っていました。

シャガールより4歳若くミロより2歳上でした。


{C11AF55E-8870-4517-878E-CACBD50B4F2E:01}

で、シャガールの絵にハッとするようなものがあってよかったです。

「翼のある馬」
赤が鮮烈。

{5E5500BE-C63D-4F65-AE74-88417332E42F:01}

「逆さ世界のヴァイオリン弾き」まあほとんどが逆さ世界みたいな絵ですが、いつも端っこにいるヴァイオリン弾きがどんと真ん中に来ているのもおもしろいなーと。


{7D023CB4-D42D-4DCC-B944-138399192DE3:01}

なんかこう、ブラックとピカソとムンクを混ぜたような悲劇的な画面ですが、「パイプを持つ男」。拳銃かと思ったけどね。

23歳の作品で、こういう絵ははじめてみたのでうれしい。絵そのものは嬉しいとか楽しいとは違うんですけどね。



{9C7A9B20-E58D-4313-98A6-26536480A09A:01}

マリー・ローランサン。シャガールよりさらに4歳年上。アンリ・ルソーが描いた絵の中の自分を見て、「こんなに太ってない!」と文句を言ったそうですが、ルソーだから(笑)。

「女性の肖像」とありますが、たぶん自分自身の肖像なのでは。目に瞳孔が描かれていて、真正面を見つめている表情もあまり類のないもので、気に入りました。


{522CA132-B5B8-4F1B-BF77-4F964114868F:01}

ルノワールの絵も多かったんですが、この「少女」はちょっとルネ・マグリットのある作品を連想させるタッチではないかと…。



{8EF173AB-CFD4-41C1-AD05-D6E0AE9A4C4B:01}

こちらはクールベ。

あクールベというと荒涼とした冬の海、のイメージなんですが女性はめずらしいなあ。

視線とかポージングがどうもまとまっていない印象を受けるけれど、豊かな髪を描きたかったんでしょうか。


{A6CB41BC-C460-4012-91A8-DAC3581FC46F:01}

ゴッホの絵もありました。「白い花瓶のバラ」1886年。

オランダからパリに出た年の絵ですね。
ここからあの「ひまわり」まで2年。まだ明るい光の色は手に入れていませんが、「馬鈴薯を食べる人々」の暗さも脱しています。


ほかにもピカソやジョルジュ・ルオーなどなど、おもしろい!初めて見た!という絵が多くて、そんなにボリュームのある展示室ではないのですが、一点としてスルーできるような絵がなかったので。

吉野石膏コレクションの図録だけ買ってきたので、今回展示されていなかった、メアリー・カサットやアンリ・ルソーも見る機会に恵まれますように。

それにしてもどうやって絵を収集するんだろう。想像もつかないんだが。