大きな、ドレス姿の女性の絵がバーン!と三枚並んでいるコーナーがありまして、
この展示の仕方もすきでした。
クロード・モネ「ゴーディベール夫人の肖像」1868 216.5×138.5cm
カミーユを描いた「緑衣の女性」1866年が成功したことで依頼された肖像画。
モネの関心は夫人の顔ではなく、ドレスの布地の質感の表現や、
全体の構成にあったようですが、それも含めて見入ってしまう作品です。
カロリュス=デュラン「手袋の夫人」1869 228×164cm
優美でうつくしい女性を描いた作品に見えるのですが、床に片方落とした
手袋や、背景の床と壁のどことなく古びた様子が女性をつつましくみせています。
打って変わってこちらはゴージャス!
オーギュスト・ルノワール「アルトマン夫人の肖像」1874 183×123
腰のところをふくらませたバッスルスタイルのドレスに扇をもち、
黒髪に白い肌が上品でもあり、情熱的でもあります。
画面の左にはピアノを弾いている女性がいるのですが、
婦人の夫である、「ジョルジュ・アルトマンはドビュッシーを支えた人物
として今日でも知られている」そうです。
こちらはまた違う展示室にあり、注目されていた作品のひとつで、
モネの妻・カミーユの死を描いた、
「死の床のカミーユ」1879 90×68
「彼女の悲劇的なこめかみに見入りながら、もはや動かぬ
顔に死が押しつけた連続する色合いと、それが白に近づいてゆき
調和する様子を思わず無意識に探しているほどでした。
青、黄色、灰色、その他いろいろの色調を探していたのです」
「深い愛着を覚えていた顔立ちを描きとめようという考えが浮かぶ前に、
まず色彩のショックに対して体がおのずとざわめき始めました。
そしてわたしの意志に反して、人生の日課となっている
無意識的な作業に、反射的に取り掛かったのです」
ベルト・モリゾ 「ゆりかご」1872 56×46.5
最初、このゆりかごにねむっている女の子はベルト・モリゾの娘のジュリー・マネで、
寝顔を見ているのは画家自身なのかなーと思いましたが、
制作年とジュリー・マネの生まれた年が合わないので、誰?と
思って解説を読んだら、
姉エドマが生まれた娘のブランシュのゆりかごに見入る姿でした。
ベルト・モリゾもモデルになるくらいですからきれいなひとですが、お姉さんも
やはりきれい。姉妹で画家を志していたのですが、お姉さんは結婚を機に
画家仲間から離れたそうです。
カミーユの絵と、ゆりかごは離れた展示コーナーにあったのですが、
私の中では、白の印象がつよい絵として、
わが子を残して夭逝した母親と、
生まれたばかりのわが子を愛おしむ母親という対照でも並んでいます。