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大原美術館展入り口のモネの「積みわら」メインのパネル。


あちこちにパネルや案内板や垂れ幕があったのですが、いろんなバリエーションがありまして。

展示は4章からなり、高階館長が最後の部屋をぜひ見てほしい、と力をこめて
お話しなさっていたことと、


大原美術館学芸課長、柳沢秀行さんのギャラリートークで、大原美術館が今を生きている作家たちとともに作品やもっと大きく新しい美術をつくっていく支援として、


1、有隣荘で展覧会をひらく

2、アーティストミーツ倉敷 画家や彫刻家以外の音楽やダンスなどの作家を招いて作品を出してもらう

3、大原美術館の児島虎次郎がつかっていたアトリエに3ヶ月滞在してもらって、滞在中の生活費と材料費を提供して、大きなアトリエで制作をしてもらう

の3つがあり、ここに集められた作品はそういう取り組みでつくられたものだとおっしゃっていたので、
4章の作品から。



山口晃さんの「倉敷金刀比羅圖」2005年。

こちらは有隣荘で2005年に「会田誠・小沢剛・山口晃展」が開かれまして、
そのときの出品作品です。大原美術館が買い取って所蔵作品になったのですが、


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「大原美術館展」の図録はないので、「山口晃展 画業ほぼ総覧ーお絵描きから現在まで」の
図版から。



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やっぱりあった!倉敷駅からてくてく歩いても行けちゃう距離の
大原美術館。小さくてもあの特徴的なイオニア式円柱でわかっちゃいます(笑)。


そしてうれしいことに、山口晃さんのこの屏風(実際には「谷折り」で展示されていたので、

近寄ってじーっと見ると、倉敷駅も琴平駅もよくわかります)の
衝立を挟んで裏面には、

福田美蘭さんの「雪舟「山水図」」が。

福田美蘭さんの絵をご覧になったことのある方ならお分かりいただけると
思うのですが、雪舟のあの絵を本物と見紛うばかりに描き、軸装も自身で
すこしの悪戯心を感じさせるアレンジでやっています。

で、その山の上の方に、大原美術館が描かれているのです。
小さく、水墨画の描き方で、でもイオニア式(笑)。

屏風絵と軸という日本の伝統的な様式の中に現代作家の筆で描かれた
大原美術館。すごく楽しめました!



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その福田美蘭さんの絵がこちらには3点ありまして、

「モネの睡蓮」。

水面に映っているのは大原美術館です。

大原美術館のモネは「睡蓮」と「積みわら」の2点ですが、「積みわら」を
連れてきてくれた代わりに、「睡蓮」はお留守番でした。

並べての展示はやはり大原美術館で、でしょうか。


秋田魁新報のウェブの記事を引用します。



豊かな発想力と巧みな描写力でウイットに富んだ作品を生み出す画家・福田美蘭(1963年~)。本作は、日本の近代洋画壇を代表する作家・安井曾太郎の≪孫≫(50年、大原美術館蔵)に対するオマージュである。

 89年に史上最年少で「安井賞」を受賞した福田は、その13年後の2002年、倉敷市の有隣荘(大原別邸)で開催された個展「有隣荘・福田美蘭・大原美術館」で本作を発表した。

 今回の展観では、安井の≪孫≫と福田の本作を同時に鑑賞することができる。安井作品に見られる既成概念を打ち破った表現と、福田作品に見られる斬新な名画解釈の視点。どちらもその時代の前衛表現として楽しんでもらえるに違いない。


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このふたつが並んで見られるというのはすごいなあと。




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福田美蘭展は去年、たまたま、ルーヴル美術館展を見に東京都美術館に
でかけて見て、すっかり虜になってしまったのでした。

ご尊父の福田繁雄大回顧展をその前年に見ていたこともなにかの
縁かもしれません。

ここの部屋に展示されていた作品は12点ですが、

大原美術館でファンになった松井えり菜さんの「ウパの垂涎」(睡蓮と垂涎をかけてあり、モネの
睡蓮の絵の中で、ウーパールーパーがうっとりしている表情がなんともいえない)、

渡辺おさむさんの「Sunctuary かえる」


そして、

秋田出身であり、今回の展示でもっとも注目してほしい、と秋田魁新報の大原美術館館長と秋田近代美術館館長の対談で語られていた、

鴻池朋子さんの「第1章」。

220.0×630.0の大作ですが、それ以上に秋田の冬の山の峻烈な空気を連れてくるような、
物語性のある作品です。


(つづく)