岩手県立美術館のHPには所蔵作品検索があって、現在所蔵作品は2161点。そのうち萬鉄五郎が840点。絵画が785点ですが、8割は水墨画だと解説で聞いたことがあります。

たまに見ていると、あれ、この作品の裏にはこんな絵が!と発見して楽しくて、今度はこれとこれがくる!と予想して外れたり当たったりして、それも楽しい。

新しく収蔵になった、靉光の作品、さっそく今日見てきました。

靉光についても私は2、3年前まで全然知らなかったんですが、館長講座で



「眼のある風景」(東京国立近代美術館)のスライドをみて、それで惹かれたんです。その頃ちょうど松本竣介生誕100年で、松本俊介の友人たちについての講座が関連であったのだと思います。

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「花 変容」(1941)
色あいが「眼のある風景」を思わせますが、太平洋戦争開戦の年に描かれたことも気になります。

靉光は徴兵され、終戦後の1946年に夭逝していますが、日本のシュールレアリスムを語る上で欠かせない画家の作品が所蔵になったことで、収蔵作品の傾向がひろがる気がして、興味深いです。

いや、端的に、もっと靉光作品がふえますように(笑)。       


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「おこぜ」(墨)

こちらも靉光の作品ですが、おなじ人が描いたものなのに、傾向が全然ちがってそこがおもしろい。

まるに石とあるのは、本名が石村日郎さんだからです。

画家の名前としては、靉川光郎を名乗っていたそうです。だからあいみつ。

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こちらの展示室には、解説を伺ってから見たい!と思っていた画家の作品がどーーーーんと出ておりまして、

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畠山孝一「三陸の譜」(1977年)

畠山孝一さんは半農半漁の家の長男として生まれ、家の仕事をしていたそうです。

ところが34歳のある日、交通事故に見舞われ、体を使った仕事ができなくなったなら、

絵を描こう!と。

もともと家には父方の叔父さんである、畠山三郎の絵があったそうです。30代で夭逝した叔父さんの絵を、兄である孝一の父が全部引き取っていたんですね。

解説でそう聞いたわけではないのですが、絵を描かない画家、詩を書かない詩人とい言葉があって、孝一の父は絵を描かないけれども、美術の才能のあるひとだったのではないか、と。でなければいくら交通事故にあったといっても、息子が画家になりたいと言ってもふつう反対しそうな気がします。

陸前高田の再興会でおじさの畠山三郎の絵を修復したことも画家に!という気持ちを後押ししたそうです。

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「三陸わが庭」(1999)約2m×3mの作品で、その巨大さにも圧倒されますが、

すごいのは大きな絵であって、なおかつ細密描写が凄いというところですよ。

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この岩の肌合い、近くで見ると一層凄いです。もうこの絵だけで1時間ぐらい時間が消滅しそうなくらいです。

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この異常なくらいのリアリティが逆にシュールレアリスムにつながるような気がして、私の中では靉光の「眼のある風景」と並んでかけられています。

(妄想美術館を脳内で開館中)


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そして、こちらの絵は約 2m×6m!

大きさが比較対照できるように、美術館スタッフの方の椅子も入れて写してみました。いかがでしょうか…。

この絵について、画家である増田常徳についての解説を伺っていたときも、

詩だな!

とふるふるしていたのですが、この絵の前に立ったら、全身が振動しましたよ。

すごい!

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「寂光(浄土ヶ浜)」(2011ー2012年)

油彩画なのですが、岩の質感の表現がまたすごくて。

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油彩、金箔、石膏とあったので、石膏でしょうか。

ボーーーーーーンと果てしなく響く鐘の音を感じる作品です。