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秋田市立千秋美術館で開催された「草間彌生の世界」
講演会の補遺であります。

(7/12 14:00~15:30 秋田市立千秋美術館3F講堂)
私的にいちばんウケたのは、草間彌生が、

「ライバルは速水御舟と村上華岳」と言った、というお話でした。
建畠さんの講演は声がよく通る、というわけではないのですが、

思わず耳を傾かせてしまう、フランクな語り口とほかでは聞けない、
トピックス性がありました。

速水御舟はすきな画家だったので、やはり、ん?速水御舟だと!と
耳がピンと立った私です。



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ネットで拾ってきた、速水御舟の「鍋島の皿に柘榴」。

スライドで見せてもらった絵は、もっと色味が淡く、その分、陶器と柘榴の質感が
異常なほどよく出ていて、この絵がいますぐ見たい!と思うほどでした。

また、鍋島焼については「超絶技巧!明治工芸の粋」展で、いいなあ!と
思ってじっくりみてきた後だったので、そこもポイントになってしまいました(笑)。



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で、こちらが草間彌生の「玉葱」。

実際はこの玉葱の下に黒と金色のチェックのクロスが敷いてあって、
玉葱の重みで歪んでいるんですね。

また、色味はもっと薄いです(笑)。


これも実物を見たいと思いましたが、

「御舟に勝った!」は、さすがに無理だし(笑)。
講師の建畠さんも、いやそれは、と笑って語っていました。


去年の山種美術館の「速水御舟展」見逃したのが痛いなあ。
図録も完売だったんですよー。。。

草間彌生の精神的な病について、主治医がお母さんから離れることを
すすめ、松本の女学校を卒業後京都市立美術工芸学校日本画科に籍をおいていた時期があったんだそうです。

岩手県立美術館で開催された、アールブリュット展でいわゆるソフト・スカルプの作品をはじめて
見た時、あれ?草間彌生もこっちのひとだったのかな、と素朴に思いましたが、


おなじ展覧会会場に、田島征三さんの作品もあったので、あ、アールブリュットに
シンパシーを感じているアーティストというくくりなのかも、と考えを改め、
(当時はほんとうに草間彌生について白紙だったんです)


が、

読書部でこの話をしたときに、草間さんもそっちのひとだと判明。

息子が草間さんとは違うが、障がいがあるタイプの子なので、
私の受け止め方というのも人とはズレていると思うのですが、

あ、だったら、もっと見たいな、となり(笑)。

上村松園展を見に行って常設展示で見た、
名古屋市美術館所蔵の「ピンク・ボート」と「無限の網」がガーンと来まして。




実物は小型のボートくらいありますよー。

だからダスキンモップじゃなくて、突起物は片手くらいの
サイズのファロスをご想像ください。

建畠さんの講演の中で、草間彌生が十歳くらいから
ずっと悩まれてきた幻覚に、

増殖する花の幻覚があるそうです。
その幻覚の恐怖を絵画にすることで超克する。

またもうひとつ、男性、セックス、男根への恐怖も
根強くあり、

聴講者が女性がほとんどだったこともあり、
あまりそこは語られなかったのですが、

この「ピンク・ボート」もまさにファロスの突起で
構成されております。実際はピンクのサテンっぽい、
光沢のある布でやはりもう少し淡いです。

草間彌生の詩が展覧会会場の壁面にプリントされていたり、

また、13分間の映像もあって、そういう草間彌生の言葉の中で
突き刺さったのは、

自殺したいという気持ちを抑えるために創作に向かう、
という内容の言葉でした。


10歳からずっと幻覚に苛まれてきたその暗闇が巨大であればあるほど、
生きたいという願いも強烈なはずです。

「命の讃歌」という言葉を見つけたとき、

「ジョジョやん!」

と思った私ですが、すべてのアートが目指すものは究極、

人間賛歌、命の讃歌なのかもしれないと思います。