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きのうは、美術展をふたつ見ただけですが、どちらも見応えがありました。

お芝居で言えば、主役を張れる大女優が一場面に何人もいる状況と申しましょうか。

美術展って、大抵は主役がどーんとあって、あとはそれほどでもないのですが、どれもこれもじっと見ていたいものばかりでして。


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(ちなみにすきな人形全選挙があり、私は最新作のこの「ドリームドール」に一票。
ご本人も可愛らしいものができたんじゃないかな、と仰っていたし)

ギャラリートーク終了後、こちらの本を買った方にサインします、と司会の方が言った次の瞬間、会場内の売り場の行列の先頭にいたのは私です。あらかじめ買っていた人たちには遅れました(笑)。

そう、きのうはあまりにお客さんが多くて、その前の週までは会場内をシモンと一緒に歩きながら解説を聴けたそうなんですが、ギャラリー内をあるく→スライドを見ながら作品を制作していた当時のことなどを話す 方式に。

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この壇上にテーブルと椅子が用意され、

金茶色の細かいボーダーのカーディガンにおなじ系統の色のズボンのシモンが椅子にリラックスして腰かけ、かえってその方がいろんなお話になってよかった気がしています。毎回同じ話をするタイプじゃない気がする。

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こちらは「ドリームドール」とおなじく、おなかにもボールが入っているタイプの「シモンドール」。

肘や膝が可動の関節人形を作ってきたシモンが近年つくったもので、6体あるそうです。

いちばんのお気に入りは会場の最後に展示されていた「ドリームドール」ですが、こちらも特別な場所に展示されているし、名前が「シモンドール」ですから、やはりお気に入りの一点ではないかと。

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人形の肌の質感、ザラザラしていませんか?

おなかにボールが入った人形たちは塗装をせずに仕上げているそうです。また、「胴体に関節の球体を入れて可動箇所をふやした」という言い方ではなく、

「おなかにボールを入れた」という言い方に人形への慈しみが感じられます。

人形は慈しみの対象であるとともに、十代から生きる糧を得る商品でもあって、

初の個展の前は朝起きて寝るまでずっと手を動かして、とにかく形にしなければ、個展で人形を売らなければお金はもうない、という背水の陣だったそうです。

そんな話を味わいのある語り口と豊かな身振りで語る四谷シモン。

咎められなかったので、もちろん、音量をオフにしたiPhoneのメモ帳にメモを取ったので、後ほどギャラリートークの記事をアップしたいと思います。

(以下は会場内の人形制作のアトリエ再現コーナー。写真を撮ってもいいよとなっていたので…)

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早すぎる晩年の澁澤龍彦について(咽喉ガンで入院する前の元気な頃の)、「ずっと少年のようだった澁澤さんは、いきなりおじいさんになったみたいだ」と、

澁澤さんについてのエッセイで語っていて、白髪の多い(でもふさふさしている)髪に黒縁のメガネの澁澤さんのこの写真は中公文庫の著者近影でもお馴染みでしたが、

改めて見ると、ほんとうにいい笑顔だなあと。

そして澁澤さんが急逝したあと、精神的支柱を失って仕事が手に付かない苦しい時期が続いたこともよくわかる気がします。

山口晃展で「すずしろ日記」の一部が抜粋され、壁画(?)風に会場の最後に大きく引き伸ばされて展示されていたのですが、

S邸こと澁澤龍彦邸を訪れ、奥様のR子さんこと龍子さんに歓待されたエピソードで、

澁澤龍彦の書斎に飾ってあったシモンの80年代はじめの傲慢な表情の少女人形を思い出しました(それは「すずしろ日記」には出てこない)。


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澁澤龍彦の書斎を見たのは日曜美術館で、二十何年も昔ですが、

まさかその四谷シモンの初期から現在までの46体の人形見ることができるとはなあ。

人間長生きするものだ。

これからもがんばって長生きしよう!
(っていままでは長生きしようと思うほどの年齢ではなかったので、ぼちぼち健康に留意するということになるのですが)