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6月3日(1週間前!)に観た、美輪さんの「愛の讃歌」について
まだ記事を書いていなかったので…。


エディット(美輪さん)が二十歳そこそこの小娘で、街で歌って小銭を稼いでいた時代から、
やがて心あるホールにスカウトされ、

紆余曲折を経てスターにのし上がり、

恋人との死別によって廃人同様になり、新しい若い恋人によってそこから立ち直り、
しかし病魔に蝕まれた彼女は47歳で亡くなったのだった、


という3幕ですが、場面転換が多かったので長いと感じませんでした。

1幕で登場した美輪さんは妙にちんちくりんに見えました。

あれ?いつもの美輪さんよりちびっこに感じるなあ?と思っていましたが、
それも142㎝と小柄だったエディット・ピアフを演じていたからでした。


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最初の街の歌うたい時代の美輪さんは、こんなボウのついたあか抜けない
ワンピースを着て、ベレー帽をかぶっていました。

登場と同時に数人の若い男たちに袋叩きにされるエディット。
ストーリーは予習していませんから、落ちぶれたエディット・ピアフが
男たちにリンチされているのか?と思ったら、


エディットが歌う間にスリをするはずだったのに、お前が
スリに気をつけて、とかいうから、稼げなかったじゃないか、
というようなことを言って殴る蹴る。

同業らしい女たちが「こんな子どもにひどいことを」と止めてくれたので、
あ、まだエディットは若いんだな、とわかります。



嵐が去った後によろめきながら
立ち上がったエディットのところへ、妹シモーヌ(YOU)が赤ん坊を抱いてやってきました。

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YOUの演技がまたコミカルでよかったです。

もともと美輪さんのお芝居をずっと見ていたので、シモーヌ役をやらなきゃ
いけないので、自分がシモーヌをやっているこのお芝居が見られないのが残念、
とパンフレットの役者たちの座談会で冗談半分で言っていました。

このシモーヌとエディットのやりとりがいかにもパリの下町の女のあけすけで
さばけていて、苦みがあってよかったのです。





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やがて街の歌うたい、エディットに目をつけたのがルイ・ルプレ(若松武史)。

彼は高級クラブの経営者だったのです。上流階級の人たちの前で、
街で歌っていた時のままの姿で堂々とうたいあげる、エディット。

大成功を収め、これから運が向くかと思った矢先、
ルプレが何者かに殺されます。しかもドレス姿で…。そう、ルプレは男色家で
女装癖があったのでした。

エディットの晴れ姿を見に来てくれたあの街の悪い仲間たち。しかしルプレには男らしい、
胸毛がもじゃもじゃの男たちがストライクだったらしく、ここでのルプレの
おかまの芝居は傑作でした。そしてフランス人形じみた女装のままの死体…。


第一発見者だったエディットは拘留され、容疑は晴れたのですが、
一度ついた汚名は雪ぐことはできず、また、貧乏の中で最愛のわが子マルセル(女の子)
を失い、どん底に落ちてしまう…。

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そんな彼女を救ったのは作詞家レーモン・アッソー(大野俊亮)。

彼はエディットにエディット・ピアフという名前を与え、教養やレディーに
ふさわしい立ち居振る舞いなどをスパルタで身につけさせ、
恋人でもあった。

でもあまり恋人って感じではなくて、勉強がきらいなエディットと、
成功するには教養が必要なんだ、と迫るレーモンのやりとりは
「マイ・フェア・レディ」さながらでした。


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この後エディットは目もくらむようなゴージャスな部屋に住み、
洗練された堂々たるスターになるのですが、

その彼女のマネージャー、ルイ・バリエ(服部演之)と、




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「愛の讃歌」の作曲家マグリット・モノー(城月美穂)。

そしてシモーヌ(YOU)の3人だけはエディットが浮き沈みしても
ずっと彼女のことを真摯に考えそばにいつづけます。


で、三人そろっての見解は、エディットには恋人がつねに必要なんだ、
ということ。
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イブ・モンタン。あの「枯葉」の歌手で名優ですが、
彼がエディットのもとをはじめて訪ねた時は、無名の青年でした。

エディットはすきな男ができると、なぜか、ストライプの趣味の悪い
服を誂えて着せる趣味があり、可笑しかった。

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イブ・モンタンのつぎの男はボクシングで無冠の帝王とまで
呼ばれていたセルダン。

妻子のいるセルダンとの恋は不倫ということになるのでしょうが、
ふたりとも苦しみながらも、この愛はほんものだと信じていました。

が、

飛行機の墜落事故で彼はなくなり、その日からエディットは
交通事故を二度もおこし、アルコール依存症になり、
だれもが再起不能だと思っていました。



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が、エディット最後の恋人、テオ・サラボ登場。

美輪さんのこの「エディット・ピアフ物語」では、彼女の晩年に
訪れた若い青年との恋にスポットがあてられています。


いちばんすきな場面はマルセルが墜落死したと知って
ショックで病床についたエディットが、舞台に立つわ、と、

ドレスを用意させて歌う、「愛の讃歌」ですね。



訳詩は岩谷時子さんのものではなく、美輪さんのものです。


高く青い空が 頭の上に落ちて来たって
この大地が割れてひっくり返ったって
世界中の どんな重要なできごとだって

どうってことは ありゃあしない
あなたの この愛の前には


もしあなたが望むんだったら
この金髪だって染めるわ
もしあなたが望むんだったら
世界の涯だって ついて行くわ

もしあなたが望むんだったら
どんな宝物だって お月様だって盗みに行くわ
もしあなたが望むんだったら
愛する祖国も友達もみんな裏切ってみせるわ



……

この歌を歌いきって、2幕は終わります。

最初はあか抜けない服装だったエディットは2幕からはドレス姿で、
さすがに美輪さんですから、板についていて、カッコいい!

しかもところどころで気風のいい女の人にある、男らしさが出て、
それがまたカッコいい。

美輪さん自身も長崎から15歳で出てきて、17歳で銀巴里デビュー。
その後は文化人たちに注目されて、彼らから教えられたり、刺激を受けたりして、
美貌と共に教養も深めていったわけで、エディット・ピアフの人生軌道と
重なるところは大いにあったと思われます。


いまも綺麗ですが、十代の美輪さんの写真をたぶん、三島由紀夫全集の月報で見た時は
げげげげげ!と思いましたね。中原淳一が当時からすきだったのですが、中原淳一の描く、
美少女のような少年がここにいる!と思って。

その月報だったか、また違う何かで読んだんだったか、三島由紀夫が僕はあなたのような外見に
生まれていたらなにもいらない、というようなことを言ったんだと思う。美輪さんはなんて返したんだったかなー、美輪さんの方が上手だと思ったのは確かですわ。

ちなみに美輪さん、三島由紀夫の10個下ですが、あきらかに、その美貌の前で腰がひけているのは
三島さんでした(笑)。

美輪さんのエディット・ピアフ物語では、ほかではあまりスポットのあたっていない、
最後の恋人、テオとエディットの愛をうつくしく描いています。

自分の命を削ってでも、テオのためにレッスンをつけるエディット。
アルコール漬けで仕事をせず借金まみれだった時代の負債を払うべく、
彼女は舞台に立ち続け、そしてついに最後の時を迎える…


といういいところで終電に間に合わせなきゃ、と舞台に踵を返した私でしたが、
美輪さんの「愛の讃歌」を前の方のいい席で聴くことができただけで、

それ以上を望んだら罰があたりそうだとも思えたのでした。

YOUがまた素晴らしくて、
「誰も知らない」や「歩いても歩いても」の彼女を思い出して、
また見たくなりました。んー、DVD借りよっかなー。
ではでは☆