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時の流れとは早いものですね。

一昨日仙台に行って、「マンガのちから」展と美輪さんの「エディット・ピアフ物語」を
見たのですが、

感覚的にもう1ヵ月くらい昔に感じられます。

さらに1週間しかすぎていないのに、東京にテレビの撮影に行って、
三宅さんのお店に行ったり、前後に自分で美術展ツアーを勝手に
入れたことなど、

3ヵ月くらい前の感覚…。

24時間に自分の能力で(体は丈夫だが、疲れやすいし、頭も製造責任者の両親には悪いが、はっきりいって、粗悪品である)きる限りのことをつめこんでいるせいか、
時間の感覚がそんな感じでして。

この「マンガのちから展」ですが、宮城県美術館まではタクシーで行ったんでした。
運転手さんが、「マンガのちから」展を見に行くんですか?というので、

さすが仙台の運転手さんは美術館の情報にくわしいですね、と言ったら、
(実際、いまなんの美術展をやっているかをいつも知っている)

いやあ、そうじゃなくて、私はマンガが大好きで、手塚治虫先生の大ファンなんですよ、
と。

なんと手塚治虫全集を全巻揃えていて、手塚先生の細かなエピソードまでよくご存じだ。

私なんか、マンガがすきだと思っていても、なにしろ膨大な作品群を描いた手塚先生のことなので、
全作品の1/3も読んでいないと思う。もっと低い割合かな。すきな作品も多いけど、全部が好きかと言われるとそうでもない。

運転手さんは私よりは年上だと思われるけど、盲目的にすきだ!って感じじゃなくて、手塚先生の作品は未完のまま終わっているものも多いねえ、と話して、

手塚先生は大好きだったんだけど、どうしても「新寶島」だけは手に入らなくてね、と言ったり、
駅から美術館まではすぐなので、そんなに長くお話もできなかったんだけど、

この運転手さんのタクシーに乗れてよかった!息子がぐでぐでになって早退したきょう、ここに来てよかったんだ!とすごく励まされる気がしました。





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息子は当然、リアルタイムでは手塚先生も石ノ森先生も読むことができない、
平成14年生まれなんですが、

何年か前に、盛岡で「手塚治虫展」があったり、美術館で文化の日にやる、
美術館まつりでアトムの昔のフィルムを上映したりしたので、

興味をもっていたみたいです。


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で、この図録が物凄くよかったのですよ。

展示されていた原画や写真、貴重な資料の収録もさることながら、
展覧会会場には展示のなかった、

藤子不二雄A氏のインタビューがあり、興味深いものがありました。

なんといっても、トキワ荘で一緒にマンガ道をあるいていた同志でもあるし、
どちらも手塚治虫先生に憧れて田舎から上京したわけだし、

語ることはいくらでもあると思われますが、ふたりの関係性を
ふたりへの敬意を払いつつも、客観的に腑分けなさっていてさすが、A先生だ、と。


最初は憧れのマンガの神さまだった手塚先生を、やがて嫉妬させるまでに
なった石ノ森先生。ふたりとも新しいジャンルの開拓者であり、互いに刺激を受け合う
関係だったのではないかと。

私は何でか、ここで円山応挙と長澤芦雪を連想したのですが、応挙が芦雪に嫉妬したという
話はもちろんいまのところ聞いたことはないです。

手塚先生は自分の描くものに自信をもっていた反面、劇画が評判になれば
自分も(失敗したけど)劇画にチャレンジしたり、石ノ森先生の「ジュン」に
嫉妬して、これはマンガではない、と言ったりしますが、

それを藤子富士子A先生は、そういう嫉妬やあらたなるジャンルへの挑戦は、手塚先生の
度量の広さだと解釈していて、そういう解釈をする藤子不二雄A先生の方こそ、心が広いと思われ。





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展覧会場最後のセクションには、代作家からふたりの
偉大なるマンガ家へのイラストや漫画などが展示されていましたが、

それもこの別冊に収録されていました。



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会場と同じく、最初は羽海野チカさんのイラストです。
母性的な妖精が見守っている少女は「リボンの騎士」で、
少年は「キカイダー」のようです。それは羽海野先生がいちばん
最初に読んだおふたりの作品だからで。
間に挟まってうつむいているクマは、先生の分身である、
うみのクマですね。


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しかし、さすがの水木先生というか、この「睡眠のチカラ」、いいのかなあ。
睡眠力が足りないから両氏は早死にしてしまったんだなあ、というこの
妖怪力まんまんの水木先生。

いや、水木先生のこのマンガがここにあることも、マンガの役目なんだ、と
思ったり。

睡眠力は大切ですよね…。





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ほかにも、テルマエ・ロマエのお風呂に入っている、ルシウスと手塚・石ノ森先生とか、

かいけつゾロリのアトムと009とか、もう本当に豪華だったのですが、



ヤノベケンジさんの「アトム・スーツプロジェクト」があったり、




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やなせたかしさんの描かれたアトムとえっちゃんもあり、

ほんとうに幅広いジャンルに影響を与え続けたおふたりだったんだなあと。


この最後のセクションに辿りついたときには、もう残り時間とのせめぎ合いで
大変でしたが、この別冊付録のおかげで何度でも展覧会を歩きなおすことが
できてうれしい。

図録本体の方には、

石ノ森先生が、手塚先生が亡くなったときに朝日新聞に寄稿したイラストもあり、
それにはタコ型火星人の手塚先生が描かれていました。

石ノ森先生が先に亡くなられていたら、手塚先生はどんなイラストを描いて哀悼の意をあらわしたんでしょうか。


ほんとうにこの図録を読んでいても、私は全然マンガを読んでいないんだなあと思わされ、

これから死ぬまでにずいぶんたくさんのマンガが読めるわけだな、とむしろうれしい。


運転手さんが「火の鳥」について、お話してくれたので、まずは「火の鳥」から読もうかなーと
思っております。あと最近仏像に興味が出てきたので「ブッダ」。

また、石ノ森章太郎先生ゆかりの美術館も、石巻の萬画館しか行ってないことにも
気づいたので、そちらも。

いくら書いてもきりがないくらい、マンガの中にいると昔のことが思い出され、
マンガに浸っていられた時代がすごくしあわせだったんだ、と思う。


しあわせな子ども時代をありがとう、

と思う。



ではでは☆