整理券72番だったのに、前から2列目のプレス席の隣、といういい席ゲット。私がいつも一人で行動するせいだと思います。
二人とかグループだと、前の一席だけ空いているところにポンと座れないしね。敵が相談している間にこっちはポン!よ。どーだ!
例によってこれ見よがしな会話をするグループが真後にいてね…トークイベントの間にまで喋っていたのには呆れてしまったわ。
私の隣の女のひとは銀無地の着物に真っ赤なマニュキュアで、真面目にメモを取っていて、感じがよかった。
さて、「明治工芸の粋」の図録はもちろん家に置いてきたのですが、
持ってきた「超絶技巧 美術館」山下裕二監修(美術出版社 2013年12月刊)がいい副教材でして。
井浦新さんが司会をしている「日曜美術館」はもちろん、テレビのない私は見ていないのですが、
それにしても、映画で見た時より痩せてるなー、と思っていたら、映画の役作りで10kg絞ったそうです。顔がちっちゃくなってました。
井浦新さんが日本美術応援団3人目の団員になったのは、山口県立美術館で去年開催された「五百羅漢図展」のトークイベントのあとの打ち上げだそうで、
うっ、五百羅漢図展、行ったよ!下関海響マラソンの前夜にな!と蘇るあの異様な超絶技巧の世界。
井浦さんはこの根津美術館の藤花図には今の季節になったら見にいくんだそうです。
山下さんが、この絵は見た?と聞くとまずほとんど見ていて、1974年生まれの井浦さんが一体いつどのような出会いがあって、こうも熱心な日本美術応援団員になったのか。
井浦さんは映画の役柄ではワイルドだったり、悪い奴だったりするのですが、
日本美術について山下裕二さんと対談、というせいなのか、
畏まって純粋で、一生懸命な感じで、胸がキュンとなりそうでした。
前半は明治の超絶技巧工芸に至る、江戸から幕末の超絶技巧の絵師たちについてのおさらいのような内容でした。
その流れの中で、井浦新さんが美術番組に出る以前から日本美術についてプライベートであちこち訪ねあるいていて、
新潟県魚沼の西福寺に石川雲蝶の彫刻や障壁画(でいいのかしら)を何度も見に行っているというお話が印象的でした。深い雪の中で雲蝶の彫刻を見るのがすきだと。
日本のミケランジェロと呼ばれているそうですが、私は初耳でして。
新潟県の小布施に北斎館があることは知っていて、いつか見に行きたいなあと思っていたのですが。
いろいろ見たいものや行きたい場所が増えて、無知だったなーとショックなこともショックですが、もともと無知丸出しなんだし(笑)。
紀州の串本にある、無量寺の応挙芦雪館の虎。
これも紀州熊野古道マラソン大会に出たついで(どっちがついでなんだかもうカオス)に見てきたのですが、
来館者名簿に井浦さんの署名があり、「また来ます」と誠実そうな大きな字で書かれていたことが思い出されます。
この虎について、番組の収録で、虎の後ろに描かれている猫について語ろうとしたら、
そこはあんまり触れないでいいから、と言われてしまって、と語っておられた(笑)。
山下裕二さんは「美の巨人」で猫が狙っている鯉の目に映った猫の姿が、襖の反対側の虎なんだよ、と一緒に無量寺を訪れた女の子に解説したそうで、
そのDVDは無量寺でみました(笑)。
いつかまた無量寺を訪れたら、井浦さんの番組のDVDも見られるでしょうか。串本無量寺の芦雪については6月上旬にオンエアだそうです。
![{463706B5-7825-4970-9B5D-32BF7EC19C12:01}](https://stat.ameba.jp/user_images/20140510/17/withwitch2/92/1c/j/o0480064012936565118.jpg?caw=800)
小阿弥勝義の金工について、鶏といえば若冲で、このふたりには共通するところが多い、
![{463706B5-7825-4970-9B5D-32BF7EC19C12:01}](https://stat.ameba.jp/user_images/20140510/17/withwitch2/92/1c/j/o0480064012936565118.jpg?caw=800)
という話から、
子どもの頃の山下少年は蝶一筋切手一筋で、
切手から日本美術の世界へ導かれたようなものというエピソードを。
井浦さんは昆虫の中でも「水カマキリ」がすきだったそうです。このあたりから井浦さん、感じいいなあとファンに(笑)。
私の琴線にふれたのは水カマキリのエピソードですね。
横尾忠則さんの「コブナ少年」には、カマキリの寄生虫、ハリガネムシのエピソードがあり、
なんか似てる!と思ってしまったです。
何と言っても、今回の「超絶技巧!明治工芸の粋」の目玉、安藤緑山の竹の子に梅。
清水三年坂美術館の村田理如さんが会場にいらしていて、それも思わぬ余得!
あまりに繊細すぎて持って来られないために出品を見合わせたという、胡瓜に蟋蟀(だとおもったけど、この触角があり得ない細さ)、いつか京都に見に行きたいなあ。
並河靖之の七宝作品のついては、その超絶技巧の細部をクローズアップで堪能。
ひび割れたタイルに、石鹸(しかもちびた石鹸が重ねられている)がおいてあったり、
有刺鉄線に蔦が絡まっていたり、
その発想も凄いが技術もすごく、経歴もボクサーから藝大で油絵を学んで彫刻へ。
今度前原冬樹さんの展覧会がBunkamuraのギャラリーであるそうですが、
見に行けるかなあ。
主に美術の話だったのですが、工芸作品の中に昆虫や両生類が出てくるので、
山下さんがサンシャイン水族館でやっている、「へんないきもの」展に30分ならんでカエルを見てきた話をして、それが妙に可笑しかった。
超絶技巧の展示に、蓮の葉に飛びついたカエルがあり、その後脚がミョーに長いの。そのミョーに長い後脚が気に入っていたんですが、やっぱり見所はそこだった!とわかってうれしい。
また、刺繍絵画では竹内栖鳳の下絵と刺繍絵画のスライドのあと、「ヴェニスの月」に触れられたので、去年の「竹内栖鳳展」を思い出してうれしかった。
また、兼ねてからの疑問だった、
京都国立博物館をなんというかの謎も氷解しました。キョーハクでよかったらしい。
しかし、
キョーハクでキョーサイ展が、と連呼されると微妙な気持ちになってしまい。
暁斎の話が出たのは柴田是真の工芸品が出ているからで、私は柴田是真については、絵師であり、噺家とも昵懇であり、植物画も繊細で、と知るごとに様々な顔を見せる画家だなあと思っていたのですが、
暁斎とは仲が悪かったらしい。
柴田是真はいつも黒紋付で、暁斎は大酒飲みで、とにかく対照的だ、というお話だった。
他にもうれしいたのしいお話がいろいろあり、参加してよかったと思います。
そしてこの感想をお読みいただいたみなさま、忝いです。
あ、
今思い出したコメント。
山下さんが竹の子に梅の牙彫について、この作品を注文したひとは、松ぼっくりを一緒に飾って、松竹梅のうち、本物はどれでしょう、
なんてやっていたんじゃないかな、と。
そんな話を聞いているうちに竹の子が無性にたべたくなってきました。
ガツンガツンたべたい。
ではでは☆