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再演は再現ではないと感じさせられる舞台でした。

ファーストシーンでは、前回は華やかなピアノにのせて、パーティシーンから
入ったと記憶していますが、

(私のことなので間違っているかも…)

今回は轟く太鼓からでした。客席の上手よりのところに大きな和太鼓が
用意されてあり、なにかなーと思っていたのですが、

照明を落とした舞台にジャズピアニストの北島貞紀さんが現れ、
鍵盤に指を置いたと思うと、

太鼓の轟くような音が響き、

やがて上手からスモークが焚かれ、それはあの大津波の
イメージに重なりました。轟く太鼓とピアノの響きとスモーク。


やがて前回と同じく、パーティの場面になり、
物語は大津波に店を流されて再開をあきらめていたユキコが、

全国からの好意や支援によって、仮設でジャズ喫茶ジョニーを
再開したこと、

そこを訪れる、震災以来の屈託をかかえる人々。

彼らと関わることによって、ユキコに次第に生まれた、
再生への強い決意…。

全体のストーリーは変わらないのですが、

冒頭の太鼓をはじめ、

ユキコの詩人仲間のチエコの詩の朗読シーンの
背景に陸前高田の動く七夕が映し出されるなど、

この陸前高田市で「YUKIKO」を再演することの意義を
感じさせる演出にやはり打たれました。

チエコ役の女優さんは前回と同じ方ですが、
髪型がシャープになり、全体にチエコ像がくっきり
浮かびあがるようなスタイリングでした。

チエコとジャズピアニスト、サオリのコーディネートが
ツボでした。












終盤の、ユキコが提案してみんなでミニライブを企画し、
楽しいジャズの夜を過ごす場面はほんとうに楽しかった。


みんな思い思いに歌い、踊り、ステップを踏む。
チエコ役の役者さんがここで洒落っ気たっぷりの身振りと踊りを見せてくれます。

思わず客席も手拍子でノッテいました。盛岡劇場のタウンホール以上の
親密な空間になっていたからというのもあると思われます。


前回のピアニストは黒のドレスに華やかな雰囲気の女性でしたが、
今回は渋さとコミカルさを併せ持つ男性ジャズピアニスト。

全体の演出も陸前高田市で演じられることを意識しながらも、
遊び心が加味されたように思えました。


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舞台美術は前回とおなじく長内努さんですが、

二階席のイタリアの教会にあるような、三連祭壇画風の、
だまし絵が遊び心が感じられてよかった。

描かれているのは青い空と瓦礫の後継ですが、
ここからなにかが始まるのだと、絵も語っているように思われました。


陸前高田市公演のつぎは、八戸公演が
5月31日17:30~八戸公会堂であるのですが、

次回公演ではまた違う表情を見せてくれるのかもしれません。

(でもさすがに行けるかどうかはわからないのですが…)