「海外マラソンRunRun旅」たかぎなおこ(メディアファクトリー)。
「マラソン1年生」「マラソン2年生」「まんぷくローカルマラソン旅」と、
いろんな大会を走って、仲間の輪を広げ、その楽しさを伝えてくれたマラソンシリーズでしたが、
この4冊目がフィナーレだそうです。
今回は「神の雫」にも出てきた有名なメドックマラソン(ワインを飲みながら走る!)、グァムマラソン、バンクーバーマラソン、台北マラソンと4本走り、
そのうち3本がフルマラソンというハードルの高さ。
メドックマラソンはフランス旅だし、ワインを勉強して行きたいしと、たかぎさんのもちまえの欲張って楽しみたい気持ちがマラソンの足を引っ張り、
初の収容車。
また虚しく収容車に乗って完走賞のワイン引換券をむしり取られるところも胸に刺さるようです。
ワインと言えば松江ワイナリーのワインを出雲くにびきマラソンではいただいたのですが、完走賞をいつも当たり前のようにもらってきていたのですが、
完走の価値を知ったのもこの痛いコマのおかげです。
制限時間が6時間半と聞いて油断したこと、仲間ののりこさんやかとうさんと一緒に走り、互いのペースも乱れてしまったこと、
前夜祭も観光もグルメもと欲張ったから?
帰国してから楽しかった思い出とはべつに、じわじわと悔しさがにじみ出てくる…。
この辺りもよくわかります。
私もマラソンに行く前は観光も温泉も美術館もグルメも~と詰め込みながら、
もし、マラソンで完走できなかったら、絶対楽しめないなあというのがプレッシャーになっています。こんなに贅沢で楽しいメドックマラソンだっただけに完走できなかった悔しさは計り知れないだろうなあと。
本のために最初にこの初のリタイヤを持ってきたわけではなく、いわば編年体の構成なのですが、
メドックマラソンでのリタイヤ→東京マラソン2013ボランティア→第一回グァムマラソン(ハーフの部 2時間15分17秒)→バンクーバーマラソン(4時間19分53秒)→台北マラソン(4時間14分26秒)と、
リタイヤから反省したり悩んだりしながらも粘り強く会心のレースを走るまでになる姿がやはり気持ちいいです。
海外マラソンということで、今回は写真もいつもにくらべて華やかでなかなか機会がない海外マラソンの紹介にもなっているのですが、
いままでにないところだと思い、興味を惹かれたのはたかぎさんの故障や筋トレをはじめるあたり。
メドックマラソンから帰って、海外マラソンリベンジを誓ったたかぎさんは自分の筋力不足を痛感し、
スポーツクラブで筋肉量や体脂肪を測ってもらったところ、意外なことに筋肉量がすべて平均以下…。
え!フルマラソンを何度も完走してきたのに?と読者もびっくりですが、たかぎさんもショックだったでしょう。週二回、ランナー向けのプログラムを組んでもらって、肉体改造に取り組みます。
台北マラソンまで一ヶ月半というところでぎっくり腰になり、のりこさんの紹介してくれた治療院で自分の体がバランスが悪く、また硬いことを知ります。
治療院での治療やストレッチ、また体幹を鍛えるためにボクシングを体験したり、
いままでにないことですが、マラソン前中後のサプリのセットを用意したり、
本気のたかぎさんの姿に打たれます。
そこには仲間ののりこさんの急成長があったことも読み取れます。
私はたかぎさんよりのりこさんの年齢に近いこともあって、人一倍練習熱心で真面目なのりこさんのタイムがなかなか上がらないのが気になっていました(すみません)。
タイムはすべてじゃないけど、でもやっぱりがんばってタイムが上がるというのはうれしいものなので。
ずっと頑張ってきたのりこさんがハーフで1時間45分を出した時は、なにかジーンとしました(べつに大きなコマで感動的に描かれているわけではないのですが)。
たかぎさんのマラソン本には一貫してタイムも載っていて、そこがやはりいいなあと。
台北マラソンのタイムは、
たかぎさん 4時間14分26秒
のりこさん 4時間11分32秒(東京マラソン2012のベストタイム4時間41分43秒から大幅な記録更新!)
雨と風に苦戦したレースでこのタイムはすごいなあと思い、
2008年春に、運動不足だから走ろうかな、とのりこさんとふたりではじめたマラソンから遠く広く高く広がって、と思い、そんな6年の軌跡をコミックエッセイにしてくれてありがとうございます、と言いたい。
また何回も何十回も読み返し、その度に発見のある本になりそうです。
パンとランの両立はいろいろ厳しいが、このくらい負けないぞ!
(いい具合に発酵したスタータにランのスタートをいつも絡め取られております)