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NTTファイナンスの方がおっしゃったとおり、振込後1時間ほどで
開通しましたわ。

自分で自分にかける。

んー、つながっただ。


こんなつまらない用事のためにかけていい相手は自分以外いないのである。
父にきょうも電話をかけて、

水は出たか、
あしたはヘルパーさんが来るよ、
財布は大丈夫か、

の確認。

水はきょうも出なかった。
(どうせだめだろうと思って出さなかった、ってそれじゃあダメじゃん!
デイケアで夕方まで出かけていたので、水道が出ないことも忘れていたのだろうか)

財布はきょうはちゃんとあって、大丈夫だった。

しかし父のことだから、あったな、で思わずそのあたりに置いて、
どこに行ったか、で探し回るのでは…。自分もそりゃあ始終やっていることだから
その光景は目に浮かぶのだった。

しかし私はこう見えても50歳までで印鑑を失くしたのはたった2回だし、
財布を落としたのは33歳が最後で、以来失くしたことも落としたこともないし、

通帳を失くしたことなんか一回もない。意外でしょ。もっと始終失くしているような
気がするでしょ。

まあ鍵は始終見当たらない。2ヶ月に一回くらい、1日か2日、完全に行方不明という
事件が突発する。でも自分で心当たりを探せるのでまだまし。そうでもないか。


てか父はそもそも認知症になるまでは、家でいちばんちゃんとしている人だったのだ。

事務的なことは字が汚いコンプレックスがあり、書かなければならないものは、
ご祝儀とかお歳暮とかためておいて、私が帰省した時はここぞとばかり、
筆ペン片手に躍りかかる感じだ。弟も汚いので私に来るのだった。

ってー、でも私も字が汚かったんだけどね。
これではいかんと思って、短大時代に通信教育でボールペン字を練習していたんです。
3ヵ月で飽きてやめたけど。飽きたというより、勉強とか公務員試験とか、やらなきゃならないことが
たくさんあって、夏休みの間にがんばって練習した分だけでいま書いている。

たまにもう一度やって今度こそきれいな字になれるよう、がんばらないと、と思うけど、
十代のころの壊滅的に下手な字を思えばまだまし、とつい自分に甘い私だった。

父はエキセントリックな、というか、我儘な人間ばかりの家にあって、
いろんな意味で常識的で社会的だったんだけどなー。お酒に飲まれるところは昔からだが…。


うちは田舎なので、昔、トイレが外にあって、建て替えしてトイレが家の中になっても、
外のトイレはそのままにしておいたんですね。

ある時、よその人が勝手にその外便所を使っている気配がある、と、
真面目で融通の利かない母が、血相をかえてその戸の前で待ち構えていると、

父が、やめろじゃ、と言って、母に見逃してやれ、と家の中にふたりとも入っていって、
私はことのなりゆきをうかがっていたんだけど、

そうだな、その人もわざわざ人の家の庭に入ってまでトイレをつかうのに、
悪気じゃないよな、止むにやまれぬ生理的事情だよな、と思った。
父には(家では父だけだが)そういう、ふつうの思いやりがある。
仕事が大工だからか、もともとの気質なのか分からないけど。

それに引き換え祖父も祖母もその子供である母も、私も弟も、
まあ我儘。思いやりナッシング。だってみんなそうなんだもの。
子どもなんかまわりの大人がそうなんだから、これでいいのか、と思っちゃうじゃないの。

認知症は遺伝するそうですが、思いやりのある父が認知症になり、
まったくまわりのことを考えないマイペース人間になってきているのは、

むしろ父のためによかったことなのかもしれない。


あー、開通してよかったー。