「文化勲章の日本画家たち」展、そんなに大したことはないんじゃないかな~と思いながら出かけ、
(だったらなぜ出かけるんだ。でも期待しないで行って目からウロコの方がうれしいですよね)
一作品目で、来てよかっただ!!
と思いました。
第一回の横山大観、竹内栖鳳から76年間で39名の画家が取り上げられているのですが、
(画家一人に対して2点ぐらい)
川合玉堂の「松渚双鶴」に見惚れてしまいました。金がすきなんです。図録では金ピカの輝きの再現は難しいと思いますが、
ほんとうに金色が濃く輝きを放っていまして。
川合玉堂って地味な絵を描く人だと思い込んでいたので、見逃した川合玉堂展が惜しまれる…。
絵の解説で幸野楳嶺門下であったことがわかり、あらー、松園と同門じゃ、と。
ほんとうに私は見るのがすきなだけで、勉強しようとか、覚えようとか一切ないですよ。
でもそんな私でも、美術展で実物に接してその時に入ってくることはけっこう忘れないものだなあと。
松園については宮尾登美子の「序の舞」がきっかけですきになったのですが、
いまは「序の舞」を読み返すより、松園の絵そのものと下絵の魅力に惹かれております。
川端龍子の「卵」
こんな可愛らしい作品があったとは~。
私と川端龍子の最初の出会いは、太宰治の「眉山」ですよ。不器量でやることなすこと大雑把で無神経な料理屋の女の子(トンちゃんだったかなあ)を主人公がからかって、
川端龍子は女性だ、という場面があったんです。けっきょく彼女は腎臓が悪かったからトイレも近くて、でも少しでもお客さんを楽しませたくてギリギリまで我慢していたりして、それが粗雑だったり田舎者だと取られていたんですが。
眉山というあだ名は、そんな女中さんが眉だけは美しく整っていたので皮肉のつもりでつけられたのでした。苦い終わり方なのに、なぜかすきな作品なんですよね。
で、川端龍子がじつは男で大家だということはわかった(笑)。
こんな現代的な絵も描いていたのですね。
萬鉄五郎とおなじ、明治18年生まれでした。萬さんと違って長生きなさっていまうが。
所蔵は株式会社ヤマタネ。
帰ってから調べたら、山種美術館のヤマタネだった(笑)。ほんとうになにも知らないので、日々ものすごい勢いで成長しております。
いや、美術館で解説ボランティアに入れてもらってから、吸収してやろうという気持ちが出てきたというのもあるかも。
最初の先生が鈴木松年先生。そう、「年」ですからね、さらにその先生は「月岡芳年」、
「国芳」から美人画への流れであります。
(横浜美術館の「はじまりは国芳」展で学習したことが役立っております)
鏑木清方。最初にならったのは水野年方。年つながりでやはり、元はと言えば国芳さんだ。
しかし、鏑木清方と上村松園の交流は知らなかったので、ふたりが写生をする写真のなどがあって、
それもよかった。図録には入っていないのですが。
西山翠嶂は竹内栖鳳に師事し、のちに女婿となっており、
松園は息子の上村松篁を翠嶂の私塾に通わせています、ということもこの展覧会で知った。
展示自体は、奇を衒うことのない展示なのだけれど、その分、ベーシックな情報が示されていて、わかりやすく勉強になるのでした。
片岡球子の「初冠雪の富士の山」
これが最後から二番目でした。
でも最後の一枚の、おなじ片岡球子の「寒牡丹」より、この富士の青が圧巻でした。
ほかにも文化勲章の日本画家たちの絵は、自分が勝手に思っていたより多彩でスケールが大きく、
はじめて名前を知った画家や、経歴など、
見ていたのは20分くらいだったのですが、濃い時間でした。
高崎市美術館の「中原淳一展」を見る前に、できたら「文化勲章」も見たいなあち思って、
受付の人にここから高崎市タワー美術館までの道を聞いたら、いまからじゃあ無理だと思いますよ、グッズショップは17:30までです、
と言われたのにむしろ火がついて、展示会場にいたべつのスタッフの方がショートカットの道を教えてくれたおかげで、
見逃さないで済みました。
まあね、横浜のそごうで見ていたし、グッズも書籍もその時にごっそり買っていたから、早く見終わったのよね。
自分のところの美術展だけをみてほしかったのかもしれないけれど、
相互割引チケットまで出しているなら、もうちょっとなあ、と思った私でした。
展覧会会場にいたひとは感じがよかったんだけど…私の聞き方も悪かったのかな?と時々思い出しておる。
そんでね、私もほんとうのことしか言えない人間だから、そっけない態度だったり、冷たい感じを与えていないかなあと思ったりしてね。
たまに冷たくされると自分を顧みられるし、ふだん親切や好意に触れることの方が多いのですが、それに対してもっと感謝しなきゃなあと思えるからいい。
高崎市タワー美術館の受付の方も親切でした。美術館によっては、管理上仕方ないのかもしれないけれど、
入館時間をすぎましたから、で入れてくれないこともありますし。でもその場合は、
ケチ!
なんて思わないですけどね。ゆっくりみてほしいんだろうなあと思うんですけど。
私ともうひとりは30代くらいの男性だけで、しずかでゆるやかに流れる時間と雰囲気で、それもよかったです。