「盛岡伝説案内 其の壱ー其の百」高橋智篇著(盛岡出版コミュニティー)
盛岡のタウン誌「街 もりおか」。私は美術館に行った時にもらってくるかなあ。
その「街 もりおか」に連載されていたもの。伝説といっても、蟹の恩返しや、盛岡のお地蔵さまの謂れなどから、
例えばこのような。
これ、有名なあるモノなのですが、
一目でお分かりになったらすごい。
盛岡天満宮狛犬です。
石川啄木が気に入っていたというこの不思議な顔の狛犬については、
たかぎなおこさんも「ひとりたび1年生」のなかでへんてこで愛らしくて、と書いていますが、
ほんとうにへんてこです。
そんなふうに盛岡の名所についてもエピソードなどがまとめられていて、
盛岡に来て9年目ですが、気分は毎日が盛岡観光なので、
資格支援学校にヘレン・ケラーの植樹があるとか、
四ツ家田中のお地蔵さんとか、
この本で知ったことばかりです。
図書館から借りてきた本なので返さないとならないのですが、
この本があればたとえば、
旧岩手銀行中の橋支店の赤煉瓦についても、
白く塗りつぶされたり、黒く塗りかえられたりした歴史があることを、
観光にきた友達にガイドしてあげることもできるなあ。
作者の高橋智さんは1967年生まれで、私より若い方なのですが、
語り口を変えたら、囲炉裏のそばでなにか手を動かしながら聴きたいような、
話っこなのでした。
なお、序として内館牧子さんが文章を寄せています。
その中で、2008年の年末、心臓と血管の急性疾患で岩手医大に入院したおり、
毎朝岩手山を眺め、宮澤賢治の「注文の多い料理店」の序文をつぶやいた、というくだりが印象的だった。
「(私たちは)きれいにすきとほった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます」
盛岡は「すきとほった風」と「桃いろのうつくしい朝の日光」の街、という言葉もまた、
この「盛岡伝説案内」とおなじく、盛岡への愛があふれていて、いいな、と思うのだった。
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