(1981年、53歳の澁澤さん。非常識に若くて笑える)
「滞欧日記」は澁澤龍彦がヨーロッパの旅行中つけていた4冊の手帖をもとに編纂されているのですが、
1冊目の手帖は1970年。
んーまあいろいろその前後のあれこれを本や雑誌で読んでいると思うことはあるわけですが、
澁澤龍彦は再婚したばかりの妻・龍子(当時としては相当時代の先端をいっていたであろう奥さんは、スポーツカーの運転について澁澤さんに訊かれて、
スピードってエクスタシーなのよ、
と端的に答えて(カッコエーーー!!)ブッキッシュな澁澤さんが再婚後海外や国内の旅行に出かけるようになり、
それにつれて作品世界も変わっていったのはやはりこの龍子さんの影響なのだろうなあ)さんが頼んだ
「皇妃マリア・テレジア風カツレツ」について、
ワラジのごとき巨大なカツレツである、と表現していて、その巨大さにまわりのお客さんも、澁澤さんも龍子さんも笑ってしまう。
シェーンブルン宮殿ちかくのレストランでのことなんですけどね。
あー、そういえば「マリー・アントワネットに別れをつげて」のなかでアントワネットは、
「お母様(偉大なるマリア・テレジアのことだが)は即位してから幸せだったのはたった一度だけ、と言っていたわ」
と言うのですが、
そのわりには相当な健啖家であったもよう。
村上春樹の「村上朝日堂」には列車の食堂で食するウインナーシュニッツェルについての、
色彩の鮮やかな描写があるのですが、
ヌードルを添えたウィンナーシュニッツェルもまだたべたことがない。
ウィンナーシュニッツェル、いつか食べる日がくるんでしょうか。
クリニュー美術館をのぞいた澁澤さんは、
「例の「女と一角獣」のゴブラン織り奥まった一部屋を占領していてもっとも美しい」と記しています。
「貴婦人と一角獣」
国立新美術館で開催中の同名の展覧会で出会えるのですが、
ほかにも、
ボルゲーゼ公園のガレリア(ボルゲーゼ美術館)でラファエロの「一角獣貴婦人」を見たりしていて、
私も見たーーー!!京都で!!とか思う。
しかし、
「オレは意外に爽快な気分で目覚める
」
「さあこれから風呂にでも入るか、頭でも洗ってやろう」
「なんともうまくない。ひどい料理だ」
などというあっさりした記述に笑う。たぶん20年前の自分もそんなふうに読んでいたのではないかなーと。
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