フランシス・ベーコン展、
ずっと昔からこの画家がすきだった!というわけではなく、
雑誌の見逃せない美術展のなかのひとつに熱っぽく取り上げられていたベーコン展が気になり、
もうその頃はすでにラファエロ展のチケットを買って覚悟(息子を預けて平日美術展に行くという罪悪感に対する覚悟です)はできていたので、
よっしゃあ、これも見ちゃる!
と決意。
そしてフランシス・ベーコン展は作品はもとより、見にきているひとたちの醸す空気がよかったんです。
みんななにかを求めてきたな、という感じで張りつめて静かな空気。
ありがちな、
「まあ上手だこと」
という素っ頓狂な感想など出てきそうにもない、安らぎの空間(笑)。
私はあまり神経質な方ではないので、美術展にきて、
「上手だ」「写真みたいによく描けている」などという、オーマイガー、
な発言も楽しめる方です。
でもこの画家の作品を見にきているひとはみな、
じっくり絵をみつめ、対峙し、
淡々とすすんではまたもう一度見に戻ったり。
この作品は「走る犬のための習作」
犬の連続写真をもとに描かれているのだそうですが、犬と猿を作品のモチーフによく取り上げたベーコンは、
馬の調教師をしていた父親の仕事柄馬や犬が飼われていて、犬のモチーフは幼少時のトラウマが含意されているとの見方があるそうです。
余談ですが、「フランシス・ベーコン展」、
音声ガイドの熊川哲也もよかったですが、図録の解説の文章もまたいいです。
解説の文章を書いた人はベーコンがすきで、ベーコンの魅力について深くひとに伝えたいんだなという感じでして。
で、これは常設展を見ていたときに館員の方に伺ったことなのですが、常設展の絵は、企画展に関連づけて選ばれるそうです。
ベーコンの犬の絵に対して、この苦悶し捩れた四肢と無理に引き伸ばされたような首をもつ犬の彫刻。
これは吉野辰海の「水犬」
しかし一目見た瞬間、
あ!!このひとみたことがあるー!!と。
そう、宮城県美術館のアリスの庭の「水犬」でした。
撮影したのがこちらも私なので、全身と頭部の2アングルあるのが笑える。
企画展と常設展のつながりと、
東京国立近代美術館と宮城県美術館というつながり。
うまく言えませんが、つながっていく感じが心地よかった。
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