会いたかったんです、古賀春江の「海」。
東京国立近代美術館にはなんどか来ていて、ショップにある古賀春江の「海」ポストカードをみては、
はー、いつお蔵出ししてくれるんだろう、と。
そんなそこにあるのは分かっているのに、お蔵出しとタイミングが合わず見られていない絵がいろいろありますが、
東京国立博物館所蔵の松園「焔」もだな。「花筐」は下絵も含めて見る機会があって気が済んだが、
「序の舞」「母子」などは2、3回見ているのに、「焔」…。六条御息所がモチーフで蜘蛛の巣を描いた着物が怖い。山岸凉子に似たような絵があった気がするくらい、
じつは松園のなかでは異端児です。だがそこがいい。
って話がそれましたが、
古賀春江、れっきとした男です。
しかも、この画風なのでてっきり最近のひとだと思いきや、
1895ー1933
明治28年生まれじゃないですか。
この「海」は昭和4年の作品だし。
この肉感的な水着美人はグロリア・スワンソン。なんだこの感覚。
シュールレアリズムといえば反射的に連想される画家の代表がサルヴァドール・ダリですが、
ダリは1904-1989。
1925年にはこんな絵を描いていました。
「パンとクルミ」
諸橋近代美術館コレクションですが、
黄色と青はフェルメールカラー☆
ダリのフェルメール崇拝は若い頃からずっとだったのですね。
私が古賀春江の絵を知ったのは何年もまえに勉強していた美術検定の公式テキストでなのですが、
最初はてっきりダリの影響を受けた戦後の画家だろうくらいに思っていたのですが、
涼風を感じさせる未来的なところが気になっていました。
やっと会えた「海」は予想外に大きく、忘れられない一枚になりました。
ちなみにこちらは萬鉄五郎の「水着姿」(1926 岩手県立美術館所蔵)
海水浴というのも、水着も、当時のファッションだったようですよ。
こないだ何気無く聴いていたラジオで、石川啄木が大磯ではじめて海水浴を経験した、というエピソードが紹介されていて、
いまのようにあちこちにプールがある時代じゃないので、内陸に生まれ育ったひとには海水浴はハイカラの範疇だったのかもしれません。
萬はこのモデルの水着を自分で買ってきたそうで、萬のこだわりの赤と緑の水着になっています。
海賊風のスカーフもおそろい。
日傘なのが不思議ですが、実際には室内でモデルをみて描き、海はいわば合成(笑)。
萬の生没年が1885ー1927ですから、水着つながりで並べて見ました(笑)。
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