「ちはやふる 19」、とことん勝負だけの巻でした。
高校生活もラブもなく、畳の上に札が飛び、百人一首が詠まれる、
一音、子音の果てしない聞き分けと反応。
それがおもしろいんです。
好敵手、名勝負のなかでも際立つのは、
4連覇の元クイーン、猪熊遥(猪熊柔みたいな名前…)対主人公の綾瀬千早。
二児の母であり、4連覇の輝かしい実績をもってもまだ足りない。
「示したい 全盛期はこれからだって」
千早の部員全員各階級優勝、団体戦優勝といい勝負…。
勝ち抜いたのは千早でした。
現クイーン若宮詩暢の強さへの信頼が千早の支柱。
詩暢ちゃんに比べたら誰も強くない。
一方の猪熊さんは、
負けたすぐあとにかつてのライバル桜沢先生にいまの連絡先を教えて、と頼み、練習につきあって、
と伝える強靭さ。
本当の強さってこれじゃないか。
「全力を尽くさず負けるのなんてまっぴらよ」
旧姓は「千原」。猪熊さんが「ちは」を取られて落胆したのもむべなるかな。
かつて挑んでも挑んでも跳ね返され、全力をつくさずあきらめた苦い日が思い出され、涙ぐむ先生ですが、
自分のカッコ悪さをみせても、私の轍を踏むな、と生徒に教えようとしているその姿は爽やかな印象です。
猪熊さん、ただの天才キャラなのかと思っていましたが、このマンガには汗の一つもかかずにカルタをやっている者はひとりもいません。
努力ということをこんなに熱く繰り返す、そこに惹かれるマンガはちばあきおの「キャプテン」以来です。
(あくまでも私のすきなマンガのなかではです)
いままでの巻はすべてこの巻の名勝負の数々のための伏線だったのでは、
というくらい、
オールスター戦の19巻でした。
A級の決勝は、
千早と 太一、そこに至るまでの戦いのディティールがあっての対戦。
19巻ではまだふたりの戦いははじまったばかりですが、
ここで終わりにしてもそういう終わり方もありうるのではないか、と思わせられる充実の巻でした☆
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