ドラマにできそうなくらいおもしろいエピソードの連続。
作者は添加物の神様と呼ばれるほど、
食品メーカーに添加物のアドバイスをさせたら天下一品の凄腕営業マンを経て、
現在は食品添加物についての講演活動や、自然海塩の研究技術部長をつとめています。
転機はスーパーのセール用に開発した、牛のくず肉に添加物を巧みに混ぜ込んで、食感も味もターゲット層にドンピシャのミートボール。
そのミートボールは原価30円ですから、100円ほどの上代で利益が上がり、安部さんの自信作のひとつ、
でした。
しかし、
幼い娘さんの誕生日、何も知らない奥さんがそのミートボールを食卓に出していて、
安部さんは思わず娘さんがミートボールを食べるのを阻止していたのです。
そして、家族にはたべさせたくないものを作って売るってなんなんだ、
と考え、日本一の添加物屋コースを降りて商社もやめます。
なにしろ裏の裏まで知っているひとの書いた本ですから、
ふだん口にしているあれとかそれがなぜそんなに安いのか、安さと引き換えになっているものはなにか、
スリリングで興味深い話ばかりです。
安部さんは添加物を一切認めないのではなく、
情報公開を求め、また、私たち消費者にももっとラベルの裏に関心を持ち、
食品添加物の影の部分を知ってほしい、と訴えます。
農薬と有機農業の関係と似ています。
有機で育てた野菜は味が濃く、農薬の害を心配することもない。でも農薬を使った野菜に比べて、
効率はいないないから、価格は安くできない。
消費者からしたら、いいのはわかっているけど、いつも有機野菜にはできない。
消費者への情報公開と同時に、消費者が知識を持つこと。関心を持つこと。
添加物についてユーモアたっぷりに実例もバンバンあげて語れるのはやっぱり日本一の添加物屋だったからでしょう。
読むとラベル表示が気になりますよ(笑)
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