ありゃ、なんとこんな画像になっちゃったか。
先日古本屋さんで買い求めた100円均一の星新一の、エッセー集。
私は星新一のエッセーの文体がすきだった。そっけないようでいて稚気があり、太宰治の影響か時折、なんともいえない啖呵というかべらんめぇ口調がでたりして、予定調和じゃないところが。
あとがきを読んだら43年から45年(もちろん昭和の。西暦に直したら68年から70年ということになりますね)
に書かれたものをまとめた本でした。
なにしろSF作家が本職ですから、未来について考えるエッセイもあるわけですが、
「印刷機の未来」には家庭用の小型万能印刷機ができればさぞ生活が楽しくなるだろう、
冷蔵庫のドア、自動車、壁紙など自分ですきな模様を印刷すればいい、とありまして。
おお、いまはまさに各家庭に1台の印刷機はあるようなのですが、
活用方法はちょっとちがうようだ。
また、
未来は電子計算機とクレジットカードで、現金不要の時代になるとも言われている、という一文があり、
たしかにパソコンとさまざまなカード、お財布ケータイというようなものが跋扈しておりますが、
現金がなければ使えないものもやはり存在しておりまた、現金はまだまだ有効なのでした。
当時も読んで印象深かった2篇があります。
ひとつは「透明な笑い」。
戦争末期の昭和19年ごろのこと。徴兵検査に行った本籍地のある田舎でも、工場でも、
同世代のものはカラカラ笑ってばかりいた、というエッセイだった。
星新一は大正15年生まれで、十代の終わりにあたる年頃のことだった。
ほかのひとの戦争体験記ではそのようなことを読んだことがなく、
しかしきっとそれは本当だったのだと思えた。
もう一篇は「カンニング」。
まじめにノートはとってあるが、家に帰って復習まではしないタイプの
学生だった星新一は定期テスト前になると習ったところをノート一枚の半分になるように
ダイジェストしたという。
そのカンニングペーパーをつくる過程でそうとうのものが
蓄積されたのだと思うが、
私もこれに触発されてやってみましたよ、中学時代。
が。
まとめるというのも才能がいるもので、やっているうちに
試験が近付き、星新一って頭がよかったんだ、と思い至ったのだった。
「透明な笑い」と「カンニング」の2篇は星新一のショートショートの魅力とその分析にも
なっていると思われる。
私は星新一のアイディアじゃなくて、文章がすきだったらしいとあらためて思いました☆
ではでは☆
