『星の王子さま』のさまざまな版。
いろんな国の言葉で訳された『星の王子さま』や
日本語訳でも、さまざまな版があることがわかりました。
古い本ってうつくしいなーと思います。
木の家具や本や子どものおもちゃは、古びていても
うつくしく感じられる気がします。
サン=テグジュペリの生涯をそれぞれの時代の部屋と、
膨大な写真、それに添えられた説明などでたどっていくと、
最後は『星の王子さま』の世界でした。
物語に登場する人物たちや動物、薔薇の花が
こんな人形になって登場します。
狐は王子さまにこんなことを語りかけるキャラクターです。
「おれの秘密を教えようか。簡単なことさ。心で見ないと物事は
よく見えない。肝心なことは目には見えないといことだ」(倉橋由美子訳)
この人形のつづくあたりは、ディズニーランドみたいだなーとも
思ったのですが、きゃーかわいい!というだけじゃなくて、
そこに詩情を感じさせるものがあったのでした。
勝手にあちこち走りまわっていた息子が、
この蛇の前で、
「お母さん、王子さまは蛇にかまれて死んだんじゃないんだよ。
星に還ったんだよ」
と言った、ような気がする。
そうだったっけ?
なんとなく、あまり『星の王子さま』をよく覚えていないので、
いま王子さまが蛇に咬まれてから、物語が終わるまでを読んだのですが、
毒蛇に咬まれて、自分の星に還ったというのは、
なにか仏教の挿話のようだ…。
薔薇の花。
なんとなく、アーティチョークのようですが。
この意地悪でわがままでおしゃれな薔薇の花は、
テグジュペリの妻、コンスエロがモデルとされています。
けれども、テグジュペリが批判しながらも愛し続け、
一度は離れながらも、帰ろうと努力しつづけた祖国
フランスの寓意であるとも併せて考えたほうがいいでしょう、
と解説にありました。
地理学者。
冒険家の訪れをまっていて、冒険家から話を聞くけれど、
自身は書斎から外に出ることはない…
王子さまは星にたったひとつの薔薇の花を持っているだけだった。
でもここには5千本の薔薇の花がある…王子さまは
自分が持っているものの少なさに泣いてしまう…。
ビジネスマン。王子さまと星を持っていること、
お金持ちであることについてやりとりをするわけですが、
なんとなく、水木しげるが猫たちと会話する場面を
思い出しました。
所有することのできないたくさんの星を数えることによって
管理しているつもりのビジネスマン…。
点火夫。
1分間に1回、火を点けたり消したり大忙しである。
いったいなんのためにこんな空しいしごとを続けているのか。
と思うが、彼は自分の与えられた職務を全うすることだけに
精一杯生きているわけだ。
王子さまは、この点火夫とだけは友達になれるような
気がしたらしい。
写真はないのですが、
私が『星の王子さま』がどんな物語なのか、と、興味をもったきっかけは
『はみだしっ子』(三原順)のなかに、
大酒のみの男のエピソードが出てきたことでした。
自分が大酒のみであることが恥かしくて、
それを忘れるために酒を飲まずにはいられない、
哀れな男。
「大人ってとっても変だ」
と王子さまは思うわけだ。
ああ、ところで「酔いがさめたら、うちへ帰ろう」、
映画はまだ盛岡に来てませんが、予約した本は
届いたようです。
楽しみ、というのはなんとなく、言いづらいのですが、
どんなカモちゃんに会えるのか、やっぱり楽しみだ、と
思ってしまうわけです。
展示は意外なほど見ごたえがありました。
ディズニーランドのようなところを想像していたのですが、
これはテグジュペリ記念館の趣があります。
はぁーと深いため息をついて、
イルミネーションの輝く庭に出てみましょう。