息子のお目当てはゴキブリ。
「気分は形而上(うああ」というマンガがあって、
私は全巻そろえていたんですが、息子がこのマンガの
「ゴキちゃん」(ごきぶり)がすきですきで。
展示コーナーには、世界各国のゴキブリが
数十匹じみに展示され、
ゴキブリについての興味深いコラムがありました。
ゴキブリが生物学的にはシロアリと同じ仲間で、系統学的には
カマキリに近い仲間、というのも興味深かったですし、
ということに、なんかマンガみたい、と思ってしまった。
息子はゴキブリも寄生虫も寄生虫グッズも気に入って、
若い女性のグループがいたんですが、まるでクレヨンしんちゃんみたいに、
ねえねえおねいさん、ゴキブリの脚ってすごいよ、とか、
寄生虫ってものは人類を救うんだよとか、
思いつきでべらべら話しかけていました。
相手によっては嫌がられるんですが、このときは可愛い男の子ねー
という感じで受け止められていて、ほっとしました。
寄生虫による象皮病の写真から「ブラック・ジャック」を
思いだしたり(あるんです、象皮病になった患者が来る話も)、
寄生虫によって肥大化した巨大な陰嚢の写真や、
担架みたいなものにふくれあがった陰嚢をのせて歩いている男の人の
浮世絵…。
まるで、ブリューゲルの絵のようです。大食した男が手押し車に
お腹をのせて歩いている絵(版画)があったんですよー。
広辞苑で「ねむり病」をみつけてから30年を経て、眠り病の原因である、
ツェツェ蠅やその病気にかかっているひとのパネルもみました。
表に、「寄生虫館はこちら!」という目立つ看板もないし、ひっそりとした
目黒寄生虫館なのですが、
うけよう、と思っていないのに、寄生虫自体がどこか、ひとの心をひきつけるのは、
実際の虫の姿形とともに、「虫の知らせ」という場合の、直観や想像のようなものを意味する
「虫」が私たちの心の中にいるからかもしれません。
不気味なものに惹きつけられるのは、
たぶん、自分の心の奥を覗き込みたい気持ちと関連している気がします。