さて、
美術展レポのつづきなのです。
ピカソと、というタイトルどおり、一番点数がおおかったのは、
ピカソの作品でした。
ルートヴィヒ美術館所蔵作品の貸出による巡回展だったのですが、
60点ですから、ボリュームにかけるきらいはあったと思います。
でもまあ、おかげで全部みましたから(笑)。
だいたい、私はいつも「飛ばして」見ているのですが、さすがに
60点プラス宮城県立美術館所蔵作品数点はじっくりみました。
(でもやっぱり、現代美術は苦手で飛ばしちゃったんですが)
今回のピカソのなかで、いちばん気に入ってなんども見たのがこちら。
やわらかな茶色の描線と、大理石の腕、マンドリン、コンポートと、
丸みのあるフォルムが強調され、繰り返されているところに惹かれました。
あと、水色と茶色、という色の組み合わせがすきなのでそこにも。
解説には、オランダの静物画の伝統を強く意識した画だとありました。
ピカソはキュビズムに別れをつげたあと、新古典主義の時代に入るのですが、
その時代の絵だそうです。
緑色のガウンの女。
こちらは、マンドリンの静物画とほぼ同時代の絵ですが、
私はこのあたりのピカソのフォルムがすきです。
人物のフォルムはちからづよく、一方で人物の表情には
翳りがみえ、精神的なものを感じさせます。
解説によると、人物の服の皺に、古典主義の影響がみられるそうです。
髪型や服をみると、そうえいばヘレニズム風かも~と適当な私だった。
図録ではいまひとつ、色がぼんやりしているのですが、
「緑色のガウンの女」も、他の絵も、緑があざやかでした。
青の時代のあとに緑の時代が来たという話は聞きませんが、
印象派の巨匠である、マネの「草上の昼食」をもとにした
上の絵も、
そうとう緑がくっきり前面に出ていました。
ピカソはマネを崇拝していたそうで、この「草上の昼食」も、
アフターマネ、とタイトルにありまして。
こちらの絵には、アフターマネとはなかったのですが、
横たわる裸の女性の絵といえば、「ヴィーナス」の
伝統的な画を思わずにはいられません。
「ウルビーノのビーナス」「眠れるヴィーナス」
そして、マネの「オランピア」…。
ピカソはすきなように描きつづけ、変わりつづけたように思っていましたが、
伝統に学びつづけたからこそ、変わることを恐れなかったのかもしれません。
(それを剽窃とみることもできなくはないのですが)



