とうとう、
十年ちかく愛読してきたコミックスがバラけてしまって、
でももう少し読み返したいので、
文庫本で買ってしまいました。これも「やっちまった」ですね。
伊藤理佐さんのマンガは初期のものから読んでいますが、
いちばん多く読み返したのは、いまのところ、この
「やっちまったよ一戸建て!!」
だと思います。
ドキュメンタリーであり、エッセイコミックであり、
なにより、家を一軒たてることで伊藤さんが関わった
不動産屋さん、設計士、工務店などの人たちの個性がじつに
生き生きと伝わってくるからです。
設計士の先生。
クールで物に動じない性格ですが、この
「カッ」
という表情がなんともいえません…。
この時点では伊藤さんは結婚の予定もなかったので、
不動産屋の奥様。
招かれたおうちを褒め、お茶やお茶菓子を無難にほめている
伊藤さんに、いきなりこの台詞。
「アナタねー シャコージレーみたいなこと
言ってるとおもしろくないわよ」
か、かっこいい。
で、伊藤さんが本音で勝負すると、
そのことばに、
「言った、言った!! アナタ正直だ!!
私も少しそう思う!!」
と意気投合。
朝まで飲みあかし、この奥さんとなぜかひじきを煮たり、
招いてくれた星さんはビールを4回も買いに行っちゃうし、
すごく楽しそう。
家を建てることへの興味もさることながら、
家族や友達など、いろんなひとが関わって
うちというものはできるんだなあと
温かい気持ちになるのでした。
文庫版では文庫用のまえがきとあとがきがサービスされているほか、
伊藤さんのおうちのスナップなどもあって、
ちょっと得をした気がする私でした。
ちなみに、いま、伊藤さんはダンナさんとお子さん、
3人暮らしで、こちらの「一人用一軒家」には
住んでいらっしゃらないようです(笑)。
いろいろ、おめでたいことです。