たかのてるこさんの本を読もうと思ったのは、
ある日JR盛岡駅へ向かう、車の中でした。
FMラジオから低い体育会系っぽい女性の声が
元気に流れていました。イメージは長与千種。
銀座OLでありながら、一年に一度、2週間ほどの休みを取って
海外旅行をするという、その女性は、
休みがとれそうだ、と思ったら旅行代理店に行って、いちばんやすいチケット、
すぐ乗れる飛行機のチケットを買って、飛行機に乗ります。
会社の上司も、ずっと旅にでていないと私がだんだん元気がなくなって、
旅から帰ってくると元気になっているので、仕方ないなあと思っているようです。
そんななんとも豪快な話にひきこまれて、これはぜったい、
このひとの本を読みたい、と思ったんでした。
で、本を図書館から借りたら、なんとなく笑顔が長与さんに似ている。気がする。
タイトルから、ものすごく楽しい、ゲラゲラ笑っちゃうような旅の本なんだろうな、と
思っていました。
でも、ゲラゲラ笑うという楽しさではなく、英語がそれほど達者ではないと
いうたかのさんが、現地の人と交わす話が興味深かった。
ああ、こんなことを話すために、たかのさん、旅をつづけているんだろうか、とか
思った。
たとえば、思いがけず、カースト制度の烈しさを目の当たりにしてショックを受けた
たかのさんは、たまたま話しかけてきた豆うりのおじさんに、
どうして世界には貧富の差があるの?いろんな現実をみても
どうすることもできなくて、私は時々自分の無力さが虚しくなるよ、
と話すと、
いつのまにか、周りをいろんなひとがとりかこんで、
片足しかないけどノープロブレムさ、という青年や、
自分は学校に行けなかったから子どもたちには教育をうけさせてやりたい、と語る
一見少年、じつは3人の子持ちの物売り。
これが旅なんだなあと思った私です。
また、おわりのページの言葉もよかった。
「旅した国が増えれば増えるだけ、心の中の国境が取り払われいき、
そのたびに自由になれるような気がする」
「日常のいとおしさを思い出すためにも、私は日本を飛びださずにはいられなくなるだろう。
想像もつかない出逢いを求めて、幾度となく旅立つことだろう。
私の旅は、まだ始まったばかりなのだ。」
旅人・たかのてるこの本と出逢えてよかった、と思います。
