ヘルマン・ヘッセ
ひとつの美徳がある。
私が非常に愛している唯一の美徳である。
その名を「わがまま」という。
(「わがまま」1917年)
…ヘルマン・ヘッセは14歳のときに神学校から脱走して、その3ヶ月後に
自殺未遂事件を起こしています。
そのため、両親や神学校の友人たちが彼の心の中から「わがまま」
という悪魔を追い出そうと試みたけれど、
失敗したためにかれは精神病院に3ヵ月、入れられています。
15歳の彼が両親にあてて書いた手紙にも「わがままこそ最高の美徳」
を思わせる文章があります。
けれどもぼくは自分の立場からこう申します。
ぼくは人間です。シラーが言っているように「一個の人格」
なのです。ぼくを生んだものは、ただひとつ、自然だけです。
ぼくはこう主張します。
「ぼくたちに基本的な権利を与えるのは、いかなる功績でもなく、
ぼくたち各人がそれぞれの生き方をするように定めた自然がぼくたちに
与えたものだ」と。
(1892年)