昨年後半から急に「貧乏」がタイトルになった本が立て続けに出版され、おまけにこの出版不況の中、売れま..........≪続きを読む≫
えーどれどれ、と思って読んだ記事で、やっぱりおもしろそうなのは、
天野雅博氏の「貧乏は完治する病気」でしょうか。
私もなにかで貧乏は病理だと読んだことがありますが、
「完治する」と言いきっているのはすばらしい。
貧乏は遺伝病だ、と描いているマンガも読んだことがあるなあ。
西原理恵子のような気がする。
ところで私が「貧乏」本がブームと聞いて連想したのは、
森茉莉の「贅沢貧乏」と、山田詠美の「無銭優雅」でした。
茉莉は鴎外の令嬢であったはずですが、なにしろ、アパート経営も不可能ではない
くらいの鴎外の遺産である印税を
「紅茶(喫茶店通い)とチョコレートで費消したわ」
というわけで、ほかのきょうだいたちはそれなりに堅実な人生を
歩んでいる中、
「畳をはがして売ろうかなあ」
という極貧に陥るわけだ。でもぜんぜん切羽詰まった感じはないのが
不思議だ(笑)。
「無銭優雅」の慈雨ちゃんは40代の独身女性で、友達と共同経営で
花屋をやってはいるものの、親の家に暮らしていて、
花屋の開店資金も親に援助してもらっていて、
全体に肩身を狭くしている…はずなんだが、
こころは王様なんである。
貧乏本ブームとはいっても、この2冊がブームになることはないと思うけれど、
こころは王様でいたいといつも思うのだ。