ブログネタ:最近熱い漫画は?
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趣味的な漫画ですが、
趣味的な漫画ですが、
「テレプシコーラ」 山岸凉子(メディア・ファクトリー)でしょうか。
現在、月刊誌「ダ・ヴィンチ」に連載中ですが、
いま数年前から漫画のなかで行方不明になっていた少女が、
美貌と超絶技巧の18歳のダンサーとなって戻ってきた、
かもしんない、
というあたりで、盛り上がっているわけです。
山岸凉子って、大島弓子や萩尾望都、竹宮恵子などと同世代で、
いわゆる「花の24年組」と言われるひとりなのですが、
こんなことを言っては何ですが、往時の「日出処の天子」で見せたような、
息をのむような線の美しさは、さすがに衰えている…こんなことを言って
すみません。
でも昔からすきなマンガ家で!
もうほとんどの作品は読んでいますし、幻のデビュー作、
「あしたは青空」(なんとデビュー作はスポーツものだ。水泳部の女の子の
話だった…雑誌の山岸凉子特集で読んだのだ…どんだけマニアックやねん)
すきだからこそ、そこを素通りはできませぬ。
でもですね。
人の心のひだを描くのに、優しくなったなあと思うんです。
そんな、「上から目線」と言われそうですが、
山岸凉子さんの昔の作品は気持ちいいほど、痛かった。
「イタイ」じゃなくて、心に突き刺さるようなところがあって、そこが
気持ちいいわけだ、ファンにとっては。
この「テレプシコーラ」にも、
優等生の姉に比較されて、自信を持てず、その代わり期待されていない
気安さで、のんびり生きていた六花の、
それでも厳しい指導者にあって落ち込んだり、舞台であがってしまったり、
そういう悩みを丁寧に描いているわけです。
いままでだと、こういう乙女チックに悩んでいるタイプの子には、
手厳しい展開が待っていたものですが、この漫画では、
たとえば、金子先生、という平安美人みたいな、
頬のゆたかな、やさしい先生がついてくれています。
母親がバレエ教室を経営しているし、それなりに裕福で
恵まれた環境にある姉妹と対照的なのが、
連載開始と同時に、六花のクラスに転校してきた、空美(くみ)です。
空実はがりがりにやせていて、でも手足Hが長く、男子さえ跳べないような
跳び箱も軽々と越えるほどの、運動神経の持ち主。
女の子たちにあこがれられそうなキャラ設定ですが、空美には
近寄りがたい、人になじまない空気があり、孤立してしまいます。
そんな空美の家は、生活保護を受けているのに、アルコール中毒の
父親が、なけなしの1万円を使ってしまって、母親は目をまっ白にして、
茫然としてしまう、というような、家庭です。
そんな貧困と暴力と惨めさのなかで、空美はバレエの才能を発揮します。
じつは、六花の姉、千花よりもすぐれた資質の持ち主だったのです。
が、あるコンクールで正体(バレエを習っていた伯母が伝説のプリマだった)が
ばれそうになって、逃げ出します。なんでそのくらいのことで、と思うんですが、
この伯母や空美の母にとって、「あの須藤美智子」と知られることは、
あってはならないことなのです。
で。
以後連載的にも、現実の時間的にも、数年を経てもどってきたのが、
その空美ちゃんであるかもしれない、
ローラ・チャンという、チャイニーズ系アメリカ人。
名前も違うし、空美がたしかに技術的には優れていたし、
手足も長く、なんといっても、あのギエム(といっても私は
NHK芸術劇場で見たくらいですけれどね)を彷彿とさせる、
踊りをする小学生だったら、いまこの群を抜いて際立つ
ローラになっても…。
でもでも。
空美ちゃんはあまり美人じゃなかったし、美人の幼少期、
というにしても、あまりにも…。
小学生の頃、空美には貧困や父親のアルコール中毒、暴力などよりも
さらに強烈な、虐待を受けています。あれは虐待でしょう。
詳しくは書けませんが、美貌のバレリーナとなって生まれ変わった
ローラがもし、空美だとしても、はたしてパートナーのいる踊りはできるのだろうか、
と、心配されるところです。
いやまだ、マンガ的には、六花の推測の域を出ていないんですけど。
でも、かなりかなり、黒になってきています。
これが熱くならずにいられるでしょうか。
…って、このマンガを読んでいない方に、どこまでこの思いが
伝わったか、心もとない気がしますが、
「テレプシコーラ」と断言します

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