西原理恵子 理論社 (よりみちパン!セ)
よりみちパン!セシリーズは、各巻末に谷川俊太郎さんからの4つ質問が入っているのですが、
何がいちばん大切ですか?
→かぞくとしごと。
誰がいちばん好きですか?
→たくさんあります
何がいちばんいやですか?
→にくむこと。
という西原さんの答に、
働くことも、お金も、みんな、家族のしあわせのためにある。
という西原さんの思想が伝わる。
まえに立ち読みしたときは、マンガで読んだことのあるエピソードだな~と思っていた、
お父さんの最期とお母さんが家中のお金をかき集めて、
西原さんを東京へやるくだりも、
『女の子ものがたり』で読んでいたんですが、あらためてお母さんの強さを感じました。
最後の賭けに出たお父さんが、家中のものを注ぎ込んで博打をしようとするのを、
殴られてボコボコになっても、子供たちのために渡せない財産を守ったお母さん。
『毎日かあさん』『上京ものがたり』『女の子ものがたり』で読んでいたエピソードも、
働くこと、働いて得たお金で家族をしあわせにすること、
という西原さんの祈りに近い思想の糸で連なってつよい光を放ちます。
亡くなった鴨ちゃん(西原さんの夫)のことについても書かれています。
質問への答えのイラストには、
息子さんと娘さん、そして鴨ちゃんが、
いちばん大切なものは、
かぞくとしごと。という答えとともに描かれています。
ルビがあるので、うちの息子も読んでいましたが、
大人になるまでに、何度か、
大人になって働くようになったら、もう一度読んでほしい…。
太田治子さんの『明るい方へ』と、一見かけ離れた本にみえますが、
母親と子供、負の連鎖、アルコール中毒、生きること、働くこと…私のカテゴライズでは案外近いところに配置しています。
