いま、銀コイン貯金箱(ステラおばさんのクッキー罐)を取り出して、
財布の100円と500円硬貨をチャリン!と入れたのですが、
「愛を読む人」の、
原作にはない終わり方のエピソードに、
古びた紅茶の罐が出てきたことを思い出しました。
ハンナが(たぶん刑務所の作業賃金で)貯めたお金がびっしり入っていました。
彼女はその罐を、かつての年下の恋人であり、
いまは弁護士のマイケルに託し、
ユダヤ人虐殺を生き延びた母娘に渡してほしい、と遺したのでした。
母はすでに歿く、娘はそのお金を受け取ることを、拒みます。
が、彼女も収容所で大切にしていた紅茶の罐の思い出を語り、
罐は受け取るわ、と。
お金は、ある団体へ寄附されることになるのですが、
この、マイケルと生き延びた娘(といっても50代にはなっているのですが)の場面には、
さまざまなものが込められていて、
それを象徴するのが古びた紅茶の罐であるのは、深いと思いました。
私が連想したのは、
ジュディス・カーの
「おちゃのじかんにきたトラ」でしたが。
彼女もまた、ナチのユダヤ人迫害を子供時代に経験しています。
…お茶の時間の記憶、飼い犬の毛、家族のリボンやボタン。