花・花の歌にありましたね。
あーよかったな、あなたがいて、
っていう歌詞。
たぶん、秋頃だったかと思うんですけど、
当時勤めていた営業会社を辞めることになった、
若い営業の女の子と営業車に乗っていた時、
ラジオから花・花の歌が流れて、彼女が、
あたしこの歌好きなんだ。
と、何気なく言ったんですね。
青森の子らしい、大胆で愛嬌のあるおもしろい娘でした。
22、3歳だったかなあ。私は35歳くらいで。
菅原さんって、雑談苦手でしょ。
うん。
分かる、そんな気がしてた。じゃ、あたしが今しゃべってるの、
うるさい?
ううん、おもしろいと思って聞いてる。
確かにふだん、私は雑談が苦手なんです。
あたりさわりのない話ができない。
あたる話、障りのある話を好む。
なんで私が一緒に営業車に乗っていたかといえば、
営業支店の店長(と言っていたっけ?)がいきなり
会社に来なくなったから(笑)。迎えに行きましたよそりゃ。
でも、支店の営業成績が悪くていつも怒られるから、もう
行きたくないって言うんですもの。分かるけどさ。
そのあと、結局支店閉鎖までの3か月は悲惨を極めたんですが、
今となれば、貴重な経験だったと思いますわ。そうとでも思わなきゃ、
やってらんない。
…話を戻して、もともと、おおらかでおもしろい娘だなあと好感をもっていた
営業の彼女と半日話をしながら、クレーム処理に歩いた日のことは、
小春日和の日だまりみたいな、ほっとする思い出になっています。
クレーム処理といっても、レンズの度数を作りなおしたメガネを届けたり、
計算ミスで価格を安くしてしまった売上伝票を書きなおす、みたいな
ことですが。彼女のおっとりとしながら、どこか堂々とした津軽なまりで、
お客さ~ん、
と呼びかけると、なんとなく、和やかな空気が流れて、
出かける前に覚悟していたような、ひどいことには
ならなかったし。
ふと思い出したシリーズでした。