10歳の放浪記 | 菅原初代オフィシャルブログ「魔女菅原のブログ」

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『10歳の放浪記』 上條さなえ (講談社)


タイミング的に、『ホームレス中学生』と同じ時期に

出版されたんです、たしか。


私は読売新聞の「人」欄で、この本の紹介を見た時から、

もう読みたくて読みたくて。


図書館から借りるの3回目です。


上條さなえさんの名前は図書館の児童書コーナーで

よく見かけていたんですが、まったく読んだことがなかった。

それがいきなり『10歳の放浪記』。


友達とも冗談半分で言ったんですが、これが

『ホームレス小学生』だったら、インパクト大だったかも。

タイトルで、ちょっと損をしているかもしんない。

でも、文学的にはやはり、「放浪記」ですよね。


お父さんが保証人になったばかりに、借金とりに追われる

生活になり、小学5年生の主人公は明日のみえない

日々を送ります。


このお母さんも、ちょっとどうかと思うんですが、

再婚で結婚した夫を低く見ているところがあり、

今の夫との子である主人公をいたたまれなくするような

言動をとるんだ。どう思いますか、お姉ちゃんは

東大出のお父さんに似たけど、あなたは中卒のお父さんの子

なんだよね、とか言われたら。


「あなたのお父さん」「亜矢子のお父さん」と、妹と姉の父親を

比べる、母親。でも、早苗(主人公)のお父さんも、お酒を

飲んで母親に暴力をふるったりするのですが。


母親と姉と一緒に転々する日々のあとに、父親と二人、

放浪する日々がやってきます。説明もなく、ある日突然、

父がやってきて、母と姉とは別に行動することになるのです。


父親はやがてすべてに投げやりになり、早苗がパチンコで

生活費を稼ぐようになります。上條さんの主人公たちの

たくましさやけなげさは、この時の経験からきているのでしょうか。


結局一年間、小学校に通えなかった早苗を待っていたのは、

もう一度五年生をやるという現実でした。

高1になった日、小学校時代仲が良かった男の子に

偶然再会したものの、負い目があって、声をかけられたのに、

逃げだした早苗。


その後の人生は、彼女自身が努力して掴んだものです。

「自分の子どもにはこんな可哀そうなことはしない」という、

10歳の女の子の決心は、彼女の作った家庭や、物語に

反映しています。


『ホームレス中学生』と比べてどうこう、というつもりはないです。

だってそちらは読んでませんしね。

でも、図書館で見かけたらぜひご一読くださいませ。

損はさせませんて。