(承前)
さて、抗がん剤治療をしていた大島弓子さんは、
ある日、一匹の黒猫と出会います。
退院したばかりの体で、子猫の声をたよりに
必死でキャリーケース(猫を入れるための)を片手に、
探す大島さん。
自分の体が弱っているときに、自分より弱いものに対する愛が
さらに先鋭化していたのでしょうか。
そして、黒猫がすっかり大島家の猫になった頃、
こんどはホームレスの男性が育てていた、
皮膚病で片目の見えない、ふつうの人なら、
見向きもしないような捨て猫を譲ってもらうのです。
大島さんは、皮膚病の子猫を他の猫たちから
隔離するために、仕事場と自宅を往復し、動物病院に通い、
子猫の治療に奮闘します。
おりしも冬。風邪などひいたら、大島さんも大変なことになると
分かっていたのに。それでも、タマとなづけられた猫は
大島さんの愛情に応えるように、3巻、4巻としなやかに
飛びまわるようになるのでした。
3巻、4巻まで出て、映画化までした「グーグー」ですが、
このタマの治療のくだりは、どうしてそこまでできるのか、と、
いつも胸がしんとしてしまいます…。