お正月映画といえば、「フーテンの寅さん」という時代があったんですね。
あったんですが、そのころはたぶん、寅さん映画を見る気分じゃなかった。
若い頃って、やっぱり、流行りの映画や話題作、スピルバーグだの、ハリウッドスターだの、
文芸映画だの、好きな女優だの、で、映画を選ぶものですから。
それに、むかしから、ベストセラーが苦手でした。
ベストセラーだから読もうと思う人もいれば、
私のようなあまのじゃくは、ベストセラーなら読まない、のです。
というわけで、私が「寅さん映画」を見始めたのは、38歳のときでした。
当時いた青森の図書館に、寅さん映画のビデオがそうとうまとまってあったので、
片っぱしから借りて。きっかけは、小林信彦さんの本を読んだことですが、
はまりました。
寅さんのどこが良かったかといえば、言葉のおもしろさでしょうか。
寅さんを演じた渥美清さんが、そもそも、若かりし頃実際にあのとおりの
バイをやっていて、それを山田洋次監督がホンに取り入れたのだそうです。
子どものころ、なんとなく、寅さんがおっかないあんちゃんに思えて、苦手だったのですが、
ある一面を捉えてはいたようです。逆に、その危険な魅力で若い頃の渥美さんは、
寅さんとは違って、非常にモテたとか。分かる気もします。
寅さんの映画は、初期のころは、母恋ものがテーマになっています。
寅さんは、芸者の子で、さくらさんとは腹違いだったのですね。
さくらさんの同じお母さんのjお兄さんは、非常に優秀で、寅さんは引き取られた父の家でも
居場所がなくて、中学校もろくろく通わず、フーテンになった、と。
あの非常にひとなっつこい一面、すぐにキレる性格は、
よるべない子ども時代の反映だったかと思えば、
寅さんのキャラクター設定をした、山田洋次監督、
「さてはインテリだな」(これは実際初対面の監督に渥美さんが言った言葉だそうです)。
みなさまのお正月映画は、なんですか?
寅さん、お好きですか?