今朝の紙面に今国会での所信表明演説の全文が載っていました。

 

眼を通しながら幾つかの想いも湧いていました。失礼ながら今回の所謂、裏金事案にどのように決着をつけるのか。厳しい条件を課した関連法案の改正ができるのかどうか。また、本件に関係する政権与党自身が、根本的に政治と金の体質から脱皮ができるのかどうか。

 

紙面を読んでいる限り、後半の部分の改革が難しいのかとも感じておりました。その所為もあるのか。当紙面の社説には、新機軸が乏しいとも明記されていました。

 

1955年、昭和30年の保守合同により発足した自由民主党。党是や党則には憲法改正と自衛隊の存続明記を基本に、現在まで党運営と基本行動を支えてきました。

 

そのなかで閣僚人事や党内での勢力を持つべく、派閥という党内での個別勢力を生み、政治運営のみならず、政権の中枢に影響を与えるべく幾つかの勢力の群が党内に存在してきました。その勢力拡大のための資金力の拡大も続けられてきたと云うのです。

 

所謂、政治と金の問題を内部に底流させながら、長らくその性格と体制が維持されてきた訳です。こう云う短絡は控える必要があるかとも思うのですが、今回の所信の概要に示されているかのごとく、旧体の本格的改革を示されないまま、その上にあらたに積み上げられたものである、とも個人的ながら観えてもきました。

 

この戦後凡そ80年、この党が一時下野した時代があっても長らくわが国の戦後政治の中軸を担ってきました。ですが、中央も地方も長らくの戦後レジームの中での本質的な改革、つまりわ国の政治構造と体質を換えないまま、地方と中央とが連携する構造を打ち立て、地方にも選挙と金の下部構造をつくり上げてきました。

 

ですが世界の趨勢、体制も大きく変わり、それにそれへの外交に加え、特に経済における大きな変化への適応が出来てきたのかと問いますと、どうも、と疑問を呈したくもなります。

 

近年、失われた40年の言葉が示す如く、その変化への適応が求められています。当然、良きことも多くあったとも思考するなかで、何を遺し、何を換えていくのか。多くの耳目や専門的知見を動員し、あらたなわが国のあるべき姿を示さないと、相変わらずの長らくの既得権構造の踏襲にしか見えて来ないのです。

 

もうすでに中央も地方も制度疲労や機能不全を生じさせていて、負の均衡状態がますま加速している裡にも、依然としてその構造を維持せんがための中央集権的な動きが、今も加速されようとしています。

 

これでは世界との関係はもとより、政治と国民、政府と国民との乖離がますますその溝を深めていくものと感じています。尚、その所為ばかりではないと思うのですが、産業や経済の屋台骨企業にも不正が蔓延り、構造的な深い傷痕が露出しても来ています。

 

経済で云うところのモノポリー、モノプソニーの傾向も加速しており、どう企業が、産業が本当に原点に立ち戻れるのか。つまり人への改革も求められるのです。が、この人間課題解決に一番難渋するのではないか、とも予見するのです。

 

やはりそのリーダーシップを示すのはまず政治からだ、と。中央が変わらなければ何も変わらない。今がチャンスの筈だ、とも思えるのです。

                        2024年1月31日 NOBU