今回の能登地震、やはり様々な課題や問題がまた浮上していると報じられていました。

 地域性や地政学的な環境によっても地震の被害に違いが出てくるとは思うのですが、地震で被災された地域をどのように支援し、救命に携わるのか。地震発生から11日が経過するなかでいくつかの課題も観えてきていると今朝の番組でも報じられていました。

 個人的な理解ですが、1995年の阪神淡路大震災から多くの自然災害を経て、私たちも国も行政も随分とその経験から大切な知見などを得ました。

 ところが被災後の減災を含め、その具体的落とし込みが行政を中心にまだまだであるとも伝えられていました。つまり発災した当事者府県の具体的対応、それへの普段からの実装と詳細な展開能力が未だ不足していると報道されてもいました。

 95年以降、全国の自治体、47の都道府県に加え1700余りの市町村に、発災時におけるマニュアルの整備をされていると聞いております。が、いざ発災後の取組みの如何、これは普段から災害をシュミレートし、どう優先順位をたてて対応していくのか。その能力の育成と職員の皆様の臨機応変時の心肺能力の強化が求められるのです。

 勿論職員の方々も被災者なのです。家族の安否確認は最優先のことです。では発災後、どのような指揮を発し具体的な指示と被災地への適応は、その災害地の知事や市町村の首長の能力に負うところも大なのです。

 この投稿にも記しましたがキッシンジャー博士の説かれた予測の問題への理解が出来ているのかどうか。勿論、人間の能力や対応にも限界があるのです。つまりは組織の限界を理解しながらどのように救命をすすめ、少しでも二次被害を減らしていくのかの情報収集能力とそこからの予測です。

 そのためにもまずは発災地にお住いの方々の安否の確認と救命が第一義です。そのために万難を排する。そして避難と誘導のための現地情報の確実な取得なのです。勿論、マスコミ各社からの情報も一部役に立つとは思います。が、どのようにして被災の状況や地域の生活状況を確認するのか。つまり関係情報の取得の重要性です。

 道路を含め電気、水道、エネルギーの状態、そのインフラ関連情報の取得に加えて、被災地の方々の思いなどを含めた情報を、どう丁寧に集約し共有していくのか。

 安否がとれていない方々のお名前の一覧表をつくり開示することも必要ですが、どうすればそれらの方々の安否をどのようにして確認するのか。その手段の構築が大事なのです。

 1995年の阪神淡路大震災では、神戸にあるサンテレビ局が自局も大きな被害に遭いながら、唯一壊れなかったアナウンスブースを使い24時間、被災された方々からの安否情報、ならびに地域の細かい情報を集めそれこそ長い間流し続けられたのです。

 被災した神戸新聞も京都新聞の印刷機を借りて被災からまもなくして新聞としての第一報を伝えました。今回の能登地震では、電気の通電施設がダウンし、多くの携帯中継局がつかえず、携帯を含めおおくのネット情報の取得が困難な状態でした。

 今回の能登地震、関係の携帯会社も海洋に中継局を設けたり、宇宙衛星などを使用し、回線の確保などに努められています。そんななかで被災された方々からの声なき声をどう集約するのか。個人の方のニーズや関連メモのなど避難所に張られたアナログ的な情報などをどう集約するのか。普段から予測を立てて準備しておくことが望まれるのです。

 ここに関連する参考になる著書を紹介させていただきます。

【メディアをつくる「ちいさな声を伝えるために」白石 草著】でした。

 紙幅の関係で詳細は記せないのですが、2011年の東北大震災での情報の確保とその信頼性、そしてパブリックアクセスのできる、つまり双方向に情報交換のできるメディアをどのように現地につくり、どのように利用するかの提案が海外の事例を交えその著には書かれておりました。

 その背景には白石氏は、当時の原発事故などの情報は、テレビなどの情報より身近なネット情報に多くの方々は信頼を置くようになっていったと書かれていたのです。特に原発事故の詳細情報についてはマスコミ情報が不十分ななかで、勿論玉石混交の情報であっても原発事故の詳細をネット上から多くの方は得られていたと云うのです。

 白石氏は、その双方向の言語空間を如何に確保することが大事であり、普段からも含めそれが地方や現地でできるのかどうか。可及的速やかにその整備ができるのかが重要であると説かれてもいたのです。

 わが国では電波を国が管轄しているのです。ですが自然災害の場合などは、臨時の中継局や情報発信施設の設置を現場で簡易にできる用意、そして民間にも供与し、またその情報を被災者に届けるための簡易受信機の配布。あるいは現存の防災無線や農協の有線などに対して、簡易施設からの災害情報にすぐに転用できるための仕組み。その具体的対応も望まれるのです。

 多くのマスコミが伝える現在情報に加えて、それも現場ニーズの詳細情報の収集と発信が不十分のなかにあり、被災された方々の切なるアナログ的情報をどのようにして吸い上げることが可能なのか。より老齢化が進捗している地方や地域では、喫緊の課題でもあるのです。

 それは敗戦時まで長らく続けられてきた《五人組制度》や《隣組制度》などとは全く異なるものです。この双方向のパブリックアクセスの環境整備、わが国におけるこれからの要諦のひとつにも位置付けられると今朝は思考しておりました。

 とても長くなりました。失礼します。

 20224,1,11 NOBU