
「ほら、こんなにあるんだよ」
「わあ、さくらんぼ!あ、双子だ」
「そうだよ、双子のサクランボだよ、めずらしでしょう。佐藤錦だよ。すごい甘いんだって」
「食べたーい!」
「じゃあ、一つだけのさくらんぼがあったら、全部食べていいよ」
「え!全部いいの!」
近所の商店街で、1キロの佐藤錦が980円という破格で売られていた。
品質に問題はないが、双子なので規格外ということで格安に販売するのだという。
子供達があまりにも嬉しそうなので、私は少し意地悪をしたくなった。
全部双子なのだ。
「あれっ・・・一つのやつないじゃん」
「ないよ」
「一個も食べちゃダメってことじゃん!んもう~、双子のやつ食べちゃう・・・美味しい~♪」
「全部で980円だから、今日はもう食べ放題だよ」
「わーい!」
双子のサクランボには、種が二つある。
一度に食べると種があっちこっちに動いて、時々がりっと噛んだりした。
食べにくいから格安なのだと納得する。
しかし、1度に2個食べるという贅沢気分は、結構嬉しい。
「こうやって食べたらいいんだよ」
次女は二つを分離して食べている。
「一つで二つになる」
と上機嫌。
私は、せっかちなのと、口いっぱいサクランボを食べたいのとで、種を口の中に散らかして食べた。
「分けなくても半分ずつ食べればいいじゃん」
長女は、半分かじって、普通のサクランボのようにマイペースで食べた。
1キロも家族で食べたらすぐなくなった。
もう一箱買っておけばよかったと欲が出た。
味も良くもっと食べたいのなら、かなりお得な買い物をしたということだろう。