物を捨てない父。
「捨てないから片付かないんだよ」
と私が年代物のスチールデスクを捨てた。
「私が捨てたらお父さんもう怒っちゃってしょうがないんだよ。
あんたやってくれない?」
母に頼まれたのだ。
「捨てないから片付かないんだよ」
と私が年代物のスチールデスクを捨てた。
「私が捨てたらお父さんもう怒っちゃってしょうがないんだよ。
あんたやってくれない?」
母に頼まれたのだ。
そして私が生まれた頃からあるようなスチールデスクの中に
入っていたものが出てきた。
いつのものか分からない銀行名の入った風呂敷、
書類に寝押しされ、奇妙な形に折り目がついたビニール、
インクの出ないマジックは捨て、いくつも出てきた計算機は、
タンスの引出しにしまった。
二千円分の図書券と、商品券は私の財布に・・・・。
入っていたものが出てきた。
いつのものか分からない銀行名の入った風呂敷、
書類に寝押しされ、奇妙な形に折り目がついたビニール、
インクの出ないマジックは捨て、いくつも出てきた計算機は、
タンスの引出しにしまった。
二千円分の図書券と、商品券は私の財布に・・・・。
結局スチールデスクに入っていたもので、
使っているものは、2006年度のスケジュール帳だけであった。
それも最初のページの頃だけに父の几帳面な文字があるが、
後は白かった。
「今年は使ってみようと思う」
そんなことを父が言いながら買っていたのを思い出す。
しかし、結局使い勝手が悪かったのだろう。
父には、サイドボードのガラスや、壁に、忘れないための事項を
書いた紙を貼り付ける形式が向いているのだ。
使っているものは、2006年度のスケジュール帳だけであった。
それも最初のページの頃だけに父の几帳面な文字があるが、
後は白かった。
「今年は使ってみようと思う」
そんなことを父が言いながら買っていたのを思い出す。
しかし、結局使い勝手が悪かったのだろう。
父には、サイドボードのガラスや、壁に、忘れないための事項を
書いた紙を貼り付ける形式が向いているのだ。
「ああ、またべたべた貼って・・・・」
母があきれているが、新築の頃から、
いつでも実家の壁には油性マジックで店のオススメ品の紙の裏に
書かれた文字があった。
『クーラー 電気 戸閉まり、冷蔵庫』
父の寝室に今貼られている文字は、
消し忘れを母に怒られて父が自分で書いたものである。
母があきれているが、新築の頃から、
いつでも実家の壁には油性マジックで店のオススメ品の紙の裏に
書かれた文字があった。
『クーラー 電気 戸閉まり、冷蔵庫』
父の寝室に今貼られている文字は、
消し忘れを母に怒られて父が自分で書いたものである。
手帳に書いておいても、
枕もとにでっかく書いたマジックの文字にはかなうまい。
父はなんでも引き出しにしまうくせに、
引出しから何かを取り出すことはしないのだ。
だから、手帳は使われないままになったのも納得である。
枕もとにでっかく書いたマジックの文字にはかなうまい。
父はなんでも引き出しにしまうくせに、
引出しから何かを取り出すことはしないのだ。
だから、手帳は使われないままになったのも納得である。
捨てたくなかったスチールデスクを捨てられて、
父は不満顔である。
しかし、デスクのあった場所に、パソコンと
プリンターを置いて、使い勝手を良くしておいたので
その分だけ、言い方は柔らかだった。
「本当はあんまりおりゃぁ嬉しくねぇよ」
父がこう言った。ちょっとは嬉しかったのだろうか。
配線が混乱して、パソコンとプリンターが離れた場所にあったので、
非常に使いづらかったのである。
使っていれば、便利になったことが分かるだろう。
父は不満顔である。
しかし、デスクのあった場所に、パソコンと
プリンターを置いて、使い勝手を良くしておいたので
その分だけ、言い方は柔らかだった。
「本当はあんまりおりゃぁ嬉しくねぇよ」
父がこう言った。ちょっとは嬉しかったのだろうか。
配線が混乱して、パソコンとプリンターが離れた場所にあったので、
非常に使いづらかったのである。
使っていれば、便利になったことが分かるだろう。
「でもさ、お父さん、なんでもとっておくから
事務所が片付かないんだよ。入らないもの捨てないと・・・」
「うるへー。おまえっちが入れ物を捨てちゃうから
今まで入ってたものが入らなくなったんだ。
入れ物があれば全部ぴしーっと入ってたのに」
入れ物には、風呂敷とかビニールとかしか入ってなかったよ・・・。
とは言わず、私は言った。
「いいよ、いいよ。この次はあれを捨てちゃうから。
覚悟しておいてよ、ヒヒヒ」
事務所が片付かないんだよ。入らないもの捨てないと・・・」
「うるへー。おまえっちが入れ物を捨てちゃうから
今まで入ってたものが入らなくなったんだ。
入れ物があれば全部ぴしーっと入ってたのに」
入れ物には、風呂敷とかビニールとかしか入ってなかったよ・・・。
とは言わず、私は言った。
「いいよ、いいよ。この次はあれを捨てちゃうから。
覚悟しておいてよ、ヒヒヒ」
ともかく、DVDプレーヤーの上にテレビ、
テレビの上に板、その上に電話と卓上ライト・・・
ジェンガという積み木おもちゃのように積み上げて
部屋が片付いていると思っている父に任せてはおけない。
今回、私は積み上げてあるものをなくした。
高さがなくなったため、見渡しがよくなり、
クーラーの効きも良い。
何より、これで東海地震の際の我家の被害がぐんと減ったと思う。
テレビの上に板、その上に電話と卓上ライト・・・
ジェンガという積み木おもちゃのように積み上げて
部屋が片付いていると思っている父に任せてはおけない。
今回、私は積み上げてあるものをなくした。
高さがなくなったため、見渡しがよくなり、
クーラーの効きも良い。
何より、これで東海地震の際の我家の被害がぐんと減ったと思う。
ああ、良いことした~♪
父がどう言おうとも自己満足の私なのである。
父がどう言おうとも自己満足の私なのである。
「あたしがやったら絶対にお父さんは許さないよ」
母が言いに来た。
「お母さんのためにもやったんだから、有難うが欲しいね~」
私がわざと傲慢に言うと母が「お礼?」
と不敵な笑いを浮かべた。
次の刹那・・・
ムチュー
私は母の筋肉質な両腕に首を掴まれ、
顔面に母からの接吻を貰ってしまった。
母が言いに来た。
「お母さんのためにもやったんだから、有難うが欲しいね~」
私がわざと傲慢に言うと母が「お礼?」
と不敵な笑いを浮かべた。
次の刹那・・・
ムチュー
私は母の筋肉質な両腕に首を掴まれ、
顔面に母からの接吻を貰ってしまった。
三十を過ぎて貰ってしまった物理的な母の愛、
何とか口は死守できたものの、
頬には濃い目の口紅が残った。
何とか口は死守できたものの、
頬には濃い目の口紅が残った。
「お母さん・・・これはひどいよ・・・。
こりゃもう二度といらないわ・・・こりゃひどい」
動揺する私を笑い飛ばして母は去った。
こりゃもう二度といらないわ・・・こりゃひどい」
動揺する私を笑い飛ばして母は去った。
片付けの礼は、図書券と商品券、
そして母の口づけ。
まあいい、全部持って帰ろう。
そして母の口づけ。
まあいい、全部持って帰ろう。
*ご指摘いくつか頂き訂正いたしました。
ジャンガ×→ジェンガ
どうも有り難うございました。
ジャンガ×→ジェンガ
どうも有り難うございました。