苦手な夏をなんとか乗り切り、違う意味で苦手な秋を迎えた。

7年前の今日の夜中。その時、もう日付は変わっていた。
私は激しい息苦しさに襲われて目を覚ました。
彼の最後の瞬間だったのだと後になって確信した。

悲哀の幻覚。

そんな名前がついているらしい。

命日が近づくと不安定になる。

命日反応。

これにもそんな名前がついている。

7年前の朝、私の仕事が終わったらまた電話する約束をしたのが最後の会話になった。
彼はその日をどんな思いで過ごしていたのだろう。

今、もしも一つだけ願いが叶うなら、
この記憶を全て持ったまま16歳の夏に戻りたい。
絶対に死なせない。絶対に幸せにする。
二人で生きる道を、必ず見つける。