10月。

彼が生きていた時には、好きな月だった。
私たちの数少ない記念日。
私たちの始まりの日。

そんな10月に、彼は一人で行ってしまった。
空の彼方。
深く広い河の向こう岸。

丸々7年。
まだとめどなく涙は流れる。
自分の為に泣いているのか。
彼の為に泣いているのか。
よくわからない。

嫌なんだ。
彼のいない世界で生きることが。

何故、あなたはいないの?
死なないって言ったのに。

あなたの骨を抱きしめる。
でも、抱きしめてはくれない。