Badly Drawn Boy "About A Boy" | Back To Back

Badly Drawn Boy "About A Boy"

今年の夏場はかなり暑かったので、秋はどうなるのか気にかかっていました。ただ今の所、秋らしさは日ごとに深まっているようですし、9月に入ってからは、自分の家の周りではウマオイが鳴いている声も聞こえるようになりました。秋は一番好きな季節なので、出かける足取りも何となく軽くなります。先日夕方に見た青から紫、ピンクへと色を変えつつ流れていた雲を見て、胸に吸い込む空気も何となく変化しているのを感じました。

さて前回紹介したRhett Millerが夏向けのアッパーな作風だったとすれば、今回はかなり秋らしい一枚だと思います。前回に引き続きJon Brionが絡んでいる作品ではあるものの、プロデューサーという立場ではなく一プレイヤーとしての参加です。


About A Boy


ここではUKのアーティストは初の紹介とはなりますが、参加メンバーはほとんどがアメリカのスタッフです。そういう意味ではアメリカらしさとイギリスぽさが、ちょうどいいバランスで調合されています。Badly Drawn Boy(以下BDB)ことDamon Goughがロスに赴き、BeckElliott Smithとの仕事で有名な(最近ではJames Bluntとも仕事をしたようです)Tom Rothrockと制作した一枚です。その流れなのかDrumはBeckバンドにも参加するJoey Waronkerが担当し、イギリスからはAttractionsのドラム・Pete Thomasも2曲で叩いています。

BDBとしての作品ですが、ジャケを見ても判るように映画"About A Boy"のサントラです。映画自体はNirvanaの曲About A Girlからヒントを得たNick Hornbyの同名小説の映像化ものですが、これがさすがに映像作品向けだけあって、屋外で聴いてみても周りの景色や映像にしっくりと馴染んでいく感覚を覚えます。ボーカル曲の間に時折インストが挟まれる構成も、そう感じさせるのかも知れませんが、全体のトーンが完全にパーソナルな作品ではなくて閉じきっていないのも要因の一つだろうと思います。

BDBの他の作品は彼のやりたいようにやった印象が強いのですが、この作品は奇跡的に彼の持つ資質と外部とのやりとりが上手く作用していると感じます。同時期にほぼ同じメンバーでLAで作られた"Have You Fed The Fish?"とも印象が異なりますし。

このアルバムからシングルカットされた"Silent Sigh"のビデオ も詩情があって、不思議な感覚です。

10月には新作である"Born In The UK"を出すBDBですが、彼のMySpaceで聞ける新曲はなかなか勢いを感じさせるものになっているので、新しい一面が見れるかも知れません。シングル"Born In The Uk"のPVがこちら で見れます。


外部リンク
Badly Drawn Boy MySpace
Badly Drawn Boy Official