The Replacements "Tim"
Big Starが出たので、Alex Chiltonが参加したアルバムということで、月並みながらThe Replacementsのアルバム"Tim"です。
The Replacementsを中心に、と書いててやっと2枚目の紹介です(笑)。まぁ急ぐこともないので、ゆっくり回していきます。
作品としては月並みどころか、Matsのアルバムとしても一ギターバンドのアルバムとしても、一般的な評価として"傑作"の地位に押し上げられている一枚だと思います。Rhinoから出た80年代のバンドコンピのタイトルにもなった"Left Of The Dial "(Chilton参加)や、Matsからの影響も受けたはずなEmoバンド大挙参加のDVDタイトル"Bastards Of Young "といった、このアルバムの曲が他に与えた影響も見逃せません。蛇足ながら"Left Off The Dial"という、70年代後期から80年代にかけてのバンドを紹介しているサイト もあります。こうゆうのを見ていくとアメリカのバンドと聞いてイメージするものが、Matsと相通じるものがあるような気がしてきます。愛されてますね。
前作"Let It Be"でR.E.M.のPeter Buckが参加し、Paul Westerbergの成長で曲作りの面でも大きく飛躍したバンドは、地元Twin/ToneレーベルからメジャーのSire Recordへ移籍。これは、R.E.M.がメジャーに行く3年も前の話です。勢いに乗った弾けただけの作品ではなくて、Paulが「僕らはこれまでと違ってもっと音楽的なアルバムを作る頃合だと思ってたし、それにスタジオでもっと練り上げてみたかった」と語っている通りに、実に多彩な音に仕上がっています。
プロデューサーのTommy Erdelyi(元Ramones、a.k.a. Tommy Ramone)の影響も大きかったと見えて、「静かな曲がびっくりするぐらいに良くなったりすることや、昔のロッカー達がやった以上にパワフルなものになりうるってことも、僕らはここで気付かされたんだ」とのこと。(以上、ライナーより)
"Left~"や"Bastards~"等の勢いのある曲もMatsとしか言いようのない味になっていますし、"Kiss Me On The Bus"・"Waitress In The Sky"の軽快なナンバーもあり、"Swingin' Party"・"Here Comes A Regular"の切ない感じなんかはまさに、静けさの中から生まれた名曲だと思います。
日本でビュー作となった"Don't Tell A Soul"がPaulのソロ作から発展した個人色の強い名作だとすれば、この作品はオリジナルメンバーBob Stinson脱退前のギリギリの均衡の中で生まれた、バンドとしての傑作だと思います。
