【第4話『迷子の迷子の子猫ちゃん?』】 | Numberless

【第4話『迷子の迷子の子猫ちゃん?』】

なんでこんな事に・・・




『いないねぇ~』



ひじきが暢気な声をあげる


辺りにはそれ以外、

セミの鳴き声しか聞こえない



「はぁ・・・」



昼間の日差しを浴びながら、

私はこの日何度目か分からないタメ息を吐いた





事の発端は朝に遡る



朝からひじきに絡まれて憂鬱な私と目が合うと、

担任の高橋みなみ先生は困った顔をしたまま近づき、



非情な命令を下した


「実は、ウサギ小屋の網が壊れたみたいで、ウサギが1匹脱走したみたいなんでス。


それを探してくれませんか?」



きっと人のいい先生の事だ、

他の教師に頼まれ、困った顔を浮かべながら了承したに違いない


可哀想なその光景が目に浮かぶ



それを何故私に頼む・・・



あぁ、そうか

理由に気がつくと、

私は先生と同じように困った顔を浮かべながら



「わかりました」



と、了承した



ひじきに絡まれる私を見て、、

きっと似たもの同士を感じ取って頼んだのだろう

私の答えを聞くと、

高橋先生は申し訳なさそうに小さな体で職員室へと消えていった



私の人の良さは生まれつき


これは誇ってもいい事なんだろうか?



ただ、

なんでこんな事に・・・




『一緒に探す』


と言ったひじきを引き連れて、

私達は昼休みに裏庭に来た


予想に反し、

ひじきは大人しくウサギを探していた

それもさっきまでの話だが



『迷子の迷子の子猫ちゃん~♪』


「ひじき、探してるの子猫じゃなくてウサギだから・・・」


『あっ、そっか。迷子の迷子のウサギちゃん~♪』


「はぁ・・・」



飽き始めると、ひじきの口数は増えていった


それに対し、

私は律儀にも一つ一つ訂正を入れるのだが、

これではキリがない



決めた、もうツッコミを入れるのは止めよう


うん、そうしよう



『里英ちゃん♪餌で誘き寄せるのはどうかな?』


「あぁ、うん、いいと思う」


『やっぱり人参かな?あっ、でも、お腹空いてたらガッツリ食べる派かな?だったらお肉とかの方が喜ぶかな?』


「・・・。」


『野生だから、生肉かな?お腹壊すといけないから、焼いた方がいいかもね?』


「・・・・・。」


『そうそう。この前ね、亜樹の家のウサちゃん、夜に血走った目で冷蔵庫開けてお肉食べてたんだよ。』



こいつ・・・


自由にさせたら好き勝手ボケやがって


性質が悪い・・・




『学校のウサちゃんも、やっぱり夜な夜な・・・』


「食わねぇよ!ホラーか!!」



思わず彼女の発言に反応してしまった・・・



もう、この際だから全部にツッコミを入れてしまおう


そうじゃないと私の気が晴れないし



「まず、ウサギは草食だから肉食べないし。


食べたとしても、野生は大体生で食べてるからお腹は壊さない!


夜にウサギが冷蔵庫開けるとか怖すぎるでしょ。


ってか、ウサギの力じゃ冷蔵庫開けれないし。



あと、血走ってるんじゃなくて、元々目は赤いの!」



ったく・・・



『そっか・・・。亜樹の勘違いだったのかな?』

「ってか、ひじきってウサギ飼ってたんだね」


『飼ってないよ?夢で見たんだもん』



「夢オチかいっ!」



ダメだ・・・

ひじきに付き合ってたら血圧上がる・・・



「ふふっ」



突然、私の近くから笑い声が聞こえた


気がつくと、

いつの間にか隣に少女が立っている



「大変そうだね」



逆行のせいで、


その顔はよく見えなかった・・・