駅までAさんに見送ってもらってFは6時25分発の新幹線で出社。仙台からなのに 8時過ぎには会社にいて、自宅からの通勤より楽チン!というからビックリだ。
『輪王寺』
義母の実家のお墓が仙台・輪王寺にある。滅多に来れないので「どこだったかな~」と探していたら,Nが「あったよ!」と直ぐに見つけた。 (やっぱりNは血が繋がってるんだ)と感心する。
大きな楓が枝を伸ばす下に その子らがみな東京に散ったK家の墓碑が立ち、刻まれた聴き知った名前をNは感慨深く眺めていた。
『裏磐梯』
中二の林間学校での印象が良かったから、とAさんは裏磐梯が大好きだ。

火山の噴火で塞き止められて出来たという桧原湖の湖畔はちょっと北欧の景色を思わせロマンティックだ。
ミゾハギが紫のビーズを集めたみたいに咲く道で どこからか「母さん!」と呼ばれた。探す間もなく「カシャッ!」 シャッターの音がした。

『福島の桃』
旅の始めに山形で食し、義妹にも送った桃の美味しさが忘れられず、またお土産に・・・とAさんがあちこち探してくれる。
裏磐梯からの山道で「美味しい桃!」という看板を見つけて、箱いっぱいに買う。
帰ったら義妹にも届け、今日からしばらく「桃祭り」だ!やり~~~!!
広かった空に積み木のようにツッ、ツッとビルが立ち、標識が「東京」から「新宿」に変わる。
Aさんは右に左にウィンカーを出し もう地図を開く必要の無くなった道を黙って走る。
Nは助手席で撮り溜めた写真を眺めながら時々窓に目をやり「暑っついね・・・」と呟く。
私は私でFのいない後ろの席で いつもの道が妙によそよそしく見えるのを感じながら「あっ、多摩川梨・・」と言いかけて言葉を呑み込んだ。
ふと、「帰りたくないよ~!」と泣き疲れて眠った二人を起こさぬよう、そろりそろりと帰った日を想い出した。
そして、今、愛車の中で それぞれが それぞれのトーキー映画を回している・・・自分の泣く子を起こさぬよう、そろりそろりと回している・・・・・と、
大きく実った多摩川梨を眺めながら 自宅までの最後のカーブを曲がった。
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東北旅行から一週間。
我が家は全員 旅の後遺症に悩まされた。
山を見ては八甲田山を、夕暮れては男鹿半島を思う。目を瞑れば奥入瀬のせせらぎが流れ、雨が降れば間違いなく白神山地の滝の声を聴いた。
Aさんからのいつもの朝イチメールが届いた。
「N子さん、毎日東北旅行ブログをありがとう。何度も読んでは楽しかった日を思い出しています。
でも、そのブログも、もう奥入瀬を歩いてしまっていて、エンディングが近い。あ~ぁ…
記念に芭蕉の句を寄せます。
~平泉~
夏草や兵(つはもの)どもが夢のあと
五月雨の降り残してや光堂
~出羽三山~
涼しさやほの三か月の羽黒山
語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな
『奥の細道』
と書きながら こちらの句が染みました。
おもしろうてやがて悲しき鵜飼哉
By 芭蕉
嬉しくて やがて寂しき ブログ哉
By A 」

Aさん、10泊11日、素晴らしい東北旅行をありがとう。
・企画、計画、運転
→ A
・計画、グルメ情報、盛り上げ係1!?
→ F
・運転、写真記録
→ N
・盛り上げ係2、文章記録
→ N子
そんな旅でしたね。
でも、何より夏の旅行は東北と決まってからAさんの机に山と積まれた資料がこの旅をしっかりと支えてくれました。
Aさんは また 「叶える」為に必要なことを私達に示してくれたと感謝しています。
Aさん、ありがとう。
本当に ありがとう。
そして、
・・また、連れてってね。
・・また、4人で行こうね。
N子より

Photo by N
Fと朝一番で檜風呂の木の香と柔らかい肌触りを堪能する。
部屋では昨夜から始まった24時間テレビに涙を流したり、「N君、十代の記念に家族で何かしようか!」という話に、私が「皆で千羽鶴を折って広島原爆記念館に寄付するのはどうかしら?」と 先生癖の抜けない提案をしたりして過ごす。
『大湯環状列石』
「イギリスのストーンヘンジは有名だけど、この大湯環状列石も縄文遺跡としてこんな形で残るのは日本でここだけなんだよ。多分、神事に関係するものでね、冬至の日の出ラインがこの2つの石を繋いだライン上に出来るんだよ。」とNが解説してくれる。
そういって草むらを掻き分けるとトノサマバッタがいっせいに羽を開げて飛び去った。

『小岩井牧場』
小さなFが真っ直ぐに走ってくる写真を年賀状に使ったことがある。それがここの並木道だった。

そのFが社会人になって選んだお土産が「ヒバのおがくず」、お風呂に入れて風情を楽しむんだとビニール袋に満タン詰めていた。
私は秋冬のWithサロンで使う材料。胡桃の木の皮、トーヒのマツボックリ、経木、形のいい炭etc籠いっぱいに買う。

『盛岡物産巡り・光原社』
旅のラストランは私のために工芸品や物産を巡ってもらう。
Fと二人で南部煎餅手作り体験をした、南部鉄器の工房も拝見し、秀衡塗りの老舗でため息もついた。

最後に盛岡に来る度に訪れる光原社にお邪魔して、手拭き硝子のワイングラスと幼い頃朝顔と言えばこの色だった赤紫の鉢を頂く。

旅は帰ってからも楽しみだ。ヒバの香りに数々入った温泉を、胡桃の皮のオブジェに 分け入った山々を思い出し、
地元で仕入れた野菜のサラダをこんもりとアンティークな鉢に盛って、半透明に歪んだワイングラスに地ビールを注いで乾杯!!!
ん~~~~~、クライマックスハイ!!!
(と、毎度毎度Aさんを雲に蒔いて愛車のトランクを満載にして帰るのであ~る!)
仙台に向かう高速道路から栗駒山を染める夕焼けを見ると、旅の始めに「広いね~!」と喚声を上げた東北の空に鰯雲が群れを成して泳いでいた。
横で眠るFの髪も夕焼けに染まり 紅花資料館で「綺麗、綺麗」とはしゃいでいた茜の布がふと胸に浮かんだ。
~行く末は 誰肌ふれん 紅の花~

夜、仙台に着いて また「青葉亭」で牛タンを頂く。一週間前「これから楽しもうね!」と乾杯した同じテーブルで「楽しかったね!」と4つのグラスを寄せた。
ホテルの部屋で「24時間テレビ」の北斗さんのゴールに拍手しながら明朝 仙台駅から新幹線で東京に出社するFは「行きたくないよ~」と言いながらトランクからパンプスを出す。
Fが眠ってから一人窓から街を眺めた。仙台にはブログで知り合ったあやちゃん、朋江さん、ふみっちさんがいらっしゃる。
今、同じ空の下で同じ一日を終えようとしている、と思って胸が熱くなった。
ついに10泊11日の10泊目を迎えた。
Aさんは2つ向こうの部屋で(あ~、初日だったらな~、あ~、全部が夢で 明日から北上するんだったらな~


)といつもの(だったらな~sample)を羊代わりに数えているに違いない・・・・・