
主人の入院を前に
実家の両親と
箱根、湯河原、鎌倉と
紅葉の旅をしてきました。

二人の相変わらずの
夫婦漫才振りに
安心するやら
吹き出すやらの
楽しい旅行となりました。
また、今回は
父が(昔取った杵柄)で
カメラを再開し、
家族みなが
完全に(麗しき家族)のモデルにされたことも
特筆すべき
旅のお土産になりました。

箱根ハイランドホテルのお庭を散策した時も
久しぶりの再会で
四方山話を楽しんでいる母と私に
「N子~、母さ~ん!
そこで ちょっと
銀杏 見上げてみよか~!」
私(???)
何の事かと振り向こうとすると、(あうん) の呼吸で
「お父さん、
これでよろしか~~~?
あんばい撮って下さいや~~!!」
と、銀幕の何とかみたいに私の肩に手を置いてバッチリ決める母。
私もつられて
取り敢えず父のシナリオに乗りながら、
チラと横目で眺めると、
父は いっぱしのカメラマンさながら、大きなレンズを器用そうに回し、
ほどなく
「よっしゃ!!
べっぴさんに撮れたで~!!」と、
OKサインをしてみせました。
母は 直ぐ様駆け寄り
(べっぴん具合?)をチェック、
「あ~、よろしな~。
ええ感じですやん。」
とご満悦・・・。


富士屋ホテルの入り口で
主人と娘が
腕を組んで歩いていると、
下の方から
「はい! そこで 昇ってる感じで止まっててや~!」とか、
芦ノ湖畔で
娘と息子が
写真を撮り合っていると
いかにも
自然な姿を納める腕利きカメラマン気取りで
太い松の幹に潜んで
しきりにシャッターを切るのです。
でも、それは
みんなの知るところで、
多分 父が狙った
子供達の語らいは
「お爺ちゃん、
こっちにレンズ向けてるわよ・・・
N、N、
もうちょっと
笑って、笑って・・・」
「くっくっ・・・
『FとN、湖畔にて』
ってところかな・・・」
だったでしょうし、
残る私達も
「見えてる、
分かってる、
ばれてるって・・・」
と 声を潜めて笑いころげたのでした。
想えば
その(昔取った杵柄)・・・
ハチミリ映画に凝っていた父に 弟と二人で
うたた寝してる風を装わされ、
二階の屋根を ソロリ ソロリ歩かされ、
靴を「あ~した天気にな~れ!」みたいに遠くに飛ばさせられ、
長いコッペパンを
取り合う様に食べさせられ、
一体 どんなドキュメントになるのか、と思っていたら、
なんと それは
『N子とK彦の
不思議な夢』
というタイトルの映画に仕上がり、
不思議も不思議、
私は後ろ向きに
スイスイ屋根の回りを歩いちゃうし、
ヒューっと飛んできた
ウルトラマンの運動靴が
弟の足にすっぽり収まっちゃうし、
二人のお口から出てきた
パンのかけらが
あれよあれよと
長~いコッペパンになっていくのです!!
つまりは、
父が ハチミリを逆回転させて編集したというわけでした。
松の幹に身を潜めてシャッターを切る父に爆笑しながら、
そんな父が
大の自慢だった幼い頃を思い出した箱根路でした。
From With
PS
箱根ハイランドホテルのお庭には 大きな樺の木が何本もあります。

父は 突然
その一本に耳をあて、
「聴こえる、聴こえる、
この木ぃの命の音や。
N子も 聴いてみ~。」
と私を呼びました。
実際、聴こえてきたのは、近くを流れる沢の音なのだと思いましたが、
「N子、心配いらんで~。ほれ、この木ぃから 元気もろて帰りや~。」
と言いながら
父は一心に耳を傾けていました。
