てち目線
……………
「とりあえず、今すぐバスケ!ってのは無理なんだよね… みんな、入部届けをもらってからまた来てもらえかな?」
あかねんが申し訳なさそうに尋ねてきた。
「うちの学校、運動部だと規定の人数以上の部員がいないと活動場所を貸してもらえないのねw」
苦笑いしながら、ゆっかーが補足した。
ん、じゃああかねん達は練習できてなかったってことなのかな
どうやら同じことをみーちゃんが考えたようで
「え、じゃあ今まで練習とかできへんかったんですか? あ…できんかったん?」
と目をぱちくりさせながら聞いた。
「無理にタメ語じゃなくてもいいよw
んー、そうだね。だからゆっかーが総合体育館とかにお願いして体育館を貸してもらって
そこで私とあかねんで自主練みたいな感じで練習してたの」
そう語るずーみんの顔は、懐かしさを感じながらも、少し悲しげに見えた。
「してた? ってことは今はやってないの?」
まなかに突っ込まれたずーみんは、まるでそれを聞かれることに怯えていたようだった。
「… 隣の女子校のやつらが、『私たちがこの体育館を使う。 あんたたちは邪魔だ』って言って、私たちに体育館を使えないようにしたのよ。」
「ちょっと、ゆっかー!」
慌てたようにあかねんがゆっかーの元へ駆け寄る
「だってほんとのことでしょ? 隠しても仕方ないよ。」
「でも…」
そんな…酷すぎるよ
ふつふつとお腹が熱くなってきた。
「待ってよ、体育館の事情で使えないって言ってたじゃん。 どうゆうことなの」
理佐が理解できない、といった顔でずーみんの方を向いた。
「ごめん理佐、嘘ついてたの。 でもさ…かっこ悪いじゃん。 言えないよ…」
「かっこ悪いとか…そんなこと思って欲しくないよ!! みんなはなんにも悪くないじゃん! そんな理不尽、私は認めない。」
理佐は私が思っている以上に、友達想いだったんだ。
ふとねるの方を見ると、唇を噛み締めていた。
いや、みんなそうだ。 こんな話を聞いて、黙っていられる方がおかしいよ。
「まぁ、みんなが入部してくれたら学校の体育館が使えるしねっ! 暗い話はやめよ?? 」
あかねんが私たちを宥めるように、そう言った。
「ゆっかー、その総合体育館ってどこ?」
「てち!!」
あかねんにストップをかけられる、が関係ない
「…すぐそこだよ。 大会とかよくやってるとこ、知ってる?」
「ゆっかーも!!」
あかねんが非難するような声を上げる。
「あー、わかった。 ありがとう。」
「何をするつもり!? 勝手なことはやめなさい!!」
ついにあかねんが声を荒らげる。
「勝手…? 勝手じゃないよ! みんなおかしいって思ってる。 確かに相手は私立だから人が多くて、たった2人で練習してるのは邪魔かもしれない
でも少数の人にだって、1人1人ちゃんと権利があるんだよ?
それを蔑ろにされて黙ってるなんて、私は嫌だ!!」
「っ! 私だってそう思うよ!! でも大人数の前じゃ、少数の意見なんて踏み潰されるだけだよ… 『数の暴力』には誰も勝てないんだよ…」
「じゃあさ、人数で戦わなかったらいいじゃん。」
不思議そうに首を傾げるまなか
全員の頭に疑問符が浮かんだが、みーちゃんはすぐに理解したようだった。
「あー、要するにバスケで勝負したらいい、ってこと?」
「そうそう、それなら相手の人数なんて関係ないでしょ?」
それでもあかねんは食い下がる。
「っでも! バスケをできるのなんて、私とずーみんしかいなかった!! 」
「今は!!」
気づいたら、そう叫んでた。
「私たちがいるよ!」
そう言った時、あかねんは泣いていた。
「…うんっ!」
零れた涙にはあかねんの、ずーみんの、ゆっかーの、3人の想いが詰まっていた。