あかねん目線、過去
……………
それは、ゆっかーが用事があると言って
ずーみんと2人で体育館の半面を使い、練習している時の出来事だった。
『ちょっと! 私たちが先に使ってたのに、どうして私たちのコートに入ってくるの!?』
『ん? あ〜 うちら赤ユリ校なの、知ってる?』
赤ユリ校と言えば、この辺りでも運動部が強いことで有名な女子高だった。
『だから何!? 赤ユリ校だからって他人のコートを奪う権利なんてないでしょ!!』
『は〜、わかってないなぁ。 うちらの人数見てみ? 今ここに20人はおるねん。 あんたらが2人でコート使ってたら勿体ないやろ? うちらが有効活用してやるんだって! Win Winでしょ?』
アハハハハ と下品な笑いが体育館に響いた。
『馬鹿なこと言わないで!!』
『うっさいなぁ… ほら、囲んじゃお〜』
そう言って私とずーみんは赤ユリ校のやつらに囲まれてしまった。
『早く退いた方が身のためだよ〜?』
脅すような笑みで全員がじわじわと近寄ってくる。
『ぜっったい退かない!! 間違ってるのはあなたたちでしょ!』
『はぁ…やっちゃおか』
リーダー格のやつがそう言うと、私は数人に後ろから羽交い締めにされた。
『あんたはいいや、あっちをやろっか』
そいつの目先には、怯えているずーみんがいた
『やめて!! やるなら私でしょ!? 』
『あんたのせいでこの子が痛い目みるんだよ?可哀想だね〜』
そう言って走り出し、勢いのままに思いっきりずーみんのみぞおちを殴った。
声にならなかった。
その後のことはあまり覚えていない。
ゆっかーの話によると、私がずーみんの肩を支えながら学校に戻ってきたらしい。
幸い、ずーみんが殴られたのは1発のみだったようで
みぞおちを殴られたから軽く気絶しただけで、外傷はなくただの打撲で済んだ。
そう、身体的な怪我はそれだけだ。
でもずーみんの心は…
どうしても、悔やんでも悔やみきれない。
警察に被害届だって出した。
でも、所詮子どものいざこざだろうと、警察はまともに取り合ってくれなかった。
訴えているのがか弱な女子3人、というのもあっただろう。
いつしか私は、そんな世の中を受け入れていた。
「仕方ない」とどこかで言い訳をするようになっていたんだ。