てち目線


……………


「間もなく出発します」


私が必死で駅の階段を登っている時


そんなアナウンスが聞こえてきた。


「嘘でしょ!? 間に合うと思ったんだけどな…」


駅までの道中の出来事を振り返ってみる。


「ん、特に何も無い…!? 普通に歩くのが遅かったのかなぁ」


本人は何も無いと思っているが


道案内に駅前でのアンケート、落し物探しなど


無意識に色々やっていたのである。


「まぁもう電車は行っちゃったし…って次の電車で行ったら大幅に遅れちゃうんだよなぁ」


どうしよ、と迷ってずーみんに電話してみると


すぐに声が聞こえてきた


『もしもし〜てち、どうしたのー?』


『あ、ずーみん? 乗る予定だった電車に乗り遅れちゃったの…!』


『え、やばいじゃん! どこに集合なのー?』


『ねるの家の近くの、〇〇駅前に集合なの!』


『んーと、確か…あ、やっぱり。 ねぇてち、〇〇駅前行きのバスが出てるよ?』


『え、ほんと!? バスの時間とかわかる?? 』


『調べるね』


『ありがとう!!』


『あ、あと2分しかないよ!! 』


『やばいやばい!! ねぇバス停どこ〜??』


『階段降りて右の改札出てすぐのところ!!』


『おっけい!! ありがとう!! じゃあ切るね!ばいばい!』


『はぁーい、ばいば〜い』


「あぁ、もう!さっき階段登ったばっかりなのに〜!」


そんなことを呟きながら改札を出ると


バスはもう来ていて、ドアが閉まる目前で


謝りながら乗車したのだった。



……………


ねる目線


到着したバスから、てちが降りてきて


こちらへ走ってやってきた。


「はぁ、はぁ… ごめんね、お待たせ!」 


息を切らし、汗をかいている。


「走らなくてよかったのに笑 」


「いやいや…ねるに早く会いたくって」


てちは白い歯を光らせながら、ニコッと笑った。


そう言われた瞬間、一気に胸の鼓動が早くなった。


「もう、今かっこつけたでしょ笑」


「あ、バレた?笑 」


「バレバレだよ〜」


そんな風に冗談めかして言わないと


顔がニヤけてしまいそうで。


「改めて、遅れてごめんね? ちょっと電車に乗り遅れて…」


申し訳なさそうに頭を下げるてち


多分普通に許してもずっと謝ってくれることが想像できたので


「ううん、大丈夫だよ!! それより、どこ行こっか??」


敢えてのスルー


そうするとてちはちょっと驚いたように目を丸くてから


「…そうだね、ちょっと歩くけどショッピングモールがあるみたいだからそこに行こっか!」


明るく笑った。


やっぱてちは笑ってないとね、似合わないよ


「よーし! 出発〜!!」


元気にそう切り出したのはいいものの


「あれ、どうやって行ったらいいんだっけ」


「え、ねるこの辺に住んでるんじゃないの…?」


結局2人とも道がわからず、ショッピングモールへと着く頃には集合時間から2時間が経過していた。