こんにちは！
てつおじさんです^_^
今日は大人気！
Uncle Tetsu NZに
テレビ取材がやって来ました！！
窓の外にズラリと並ぶ大行列^_^
NZ店も皆様から
長く愛される店舗になるよう、
品質第一で頑張っていきます^_^
さて！それでは
連続小噺をどうぞ
↓↓↓↓
【連続小噺20】
それまでは溝上の恋は漫画の世界の恋みたいなもので、とてもとても奥手であった。
で、真面目な溝上青年は、これから恋人になってもらい、一緒に社交ダンスのチャンピオンになってもらう彼女、花ちゃんに全て本当のことを話してこの挑戦に付き合ってもらうことにした。
「あなたと出逢う前に本気で惚れた女性がいて、その女性と社交ダンスのチャンピオンになるという約束をして、その条件で社交ダンスの練習を受けている内に初めてリアルな女性に男女の関係はないけれど心の底から惚れていたということに気づきました。
本当に初めてのことでした。今はあなたと男と女ということも含めて、人生で初めての心と身体の愛を経験しています。ただまだ不二子嬢から本当に卒業出来ていません。僕が彼女から卒業できるのは僕が社交ダンスであなたとチャンピオンになり、強いチームを作った時です。
彼女との約束を守り、実行したときに、初めて100％あなただけを見つめることが出来ます。僕はそうしたい。そうなりたい。僕の社交ダンスの本気のパートナーとなってダンスを一緒にやってください」と花ちゃんと話してパートナーになってもらった。
20万円で5か月のダンス三昧の生活。
1か月4万円の予算。
部屋代が6千円、食事は猫の額のキッチンで毎回自炊。
彼女は中村学園で料理の勉強をして、お母さんは料理研究家で、彼女ももちろん将来は料理研究家志望。
料理上手でほぼ毎日彼女の手料理を食べ、時々贅沢してお肉料理の時だけは「てっちゃん！お肉焼くのは男の人の仕事なの」と言って主にハンバーグの焼き方を教えてくれた。
もちろん、お風呂は部屋についていないので、節約してお湯を沸かして行水みたいに二人で身体の拭きっこをしていた。
時々は贅沢をしようって洗面器に石鹸を入れて、樋井川を歩いて五月湯というお風呂に行き、冬に向かう寒い夜は「一緒に出ようね」って約束をして、森進一か吉田拓郎かの流行り歌を僕が歌ってそれが合図で一緒に外に出て、でも僕がいつも遅れて出て行き、彼女が編んでプレゼントしてくれた濃紺の細手の毛糸で編んだ古いマフラーを一緒に巻いて樋井川添いを歩いた。
「今日は久しぶりのお風呂だったね。今日は屋台に寄って帰っておでんを食べよう」と赤ちょうちんに寄って帰ったりしながら、毎日7〜8時間のハードな練習を続けた。
毎日ラテンのルンバだけを90％、残りの10％はラテンのチャチャチャ、モダンは捨てて、『ラテンでチャンピオンになる』という言葉だけを合言葉にダンスだけの日々を過ごした。
さすがに1か月4万円では難しいときに、二人で日払いのアルバイトに行って食材を買ってきては、ささやかな贅沢を楽しんだりした。
本当に本気で二人はよく練習をした。
最初はほぼ無視していたダンス教室の生徒さんも、コーチの妹先生も次第にそれを認め、本気で教えて下さるようになったきた。
不二子嬢から「ダンスは基本が大事！」ととことん言われていたのでラテンの基本のムーヴメントをひたすら踊るのは嫌ではなかったのだけれど、基本だけでチャンピオンにはさすがになれないだろうと心配になっていたとき、妹先生が少しずつポイントを教えてくれた。
「溝上さん、あなたたちは手を挙げて踊りなさい。全九連の学生さんたちはルンバを踊るときにいつも手を下げて踊っているでしょ。彼らはそれでいい！でも溝上さん、あなた一番背が低いでしょ。ダンスは大きく見えた方がいいの。だったら手を挙げてルンバを踊りなさい。こんな風にね」
先生は自ら踊って教えてくれた。
「それと2年生までの経験者の新人戦は基本をちゃんとやれば決勝6組まではいけるわ！でも背が低いあなたにはいくら手を挙げて踊っても難しいわよね！
全九連の学生さんが誰も踊っていない難しいバリエーションを一つだけ教えてあげるわ。それを覚えて、短期間で完璧に踊れるように練習しなさい。そしてこれから試合まではその技だけを練習しなさい。
そしてここぞというときに１回だけ、それも審査員が見ている近くでその技を出しなさい」
そう言って“鶴の舞（仮称）”を教えてくださったのです。
基本練習だけを山ほど練習していた僕たちはそれから試合までその鶴の舞一本に集中することが出来た。
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