あれは、大学生の頃。
「あなたのことが好きです。」と言いたいが言えないままだった。そして度々、今でも、それを後悔する。
彼女は小さな商店街のスーパーで、アルバイトをしていた。僕は帰宅途中にそこへよって、夕飯の幕の内弁当を買う。品数は大手コンビニに比べて決して多くないし、店の雰囲気も…(もう比べるのは可哀想か…)
たまたま、立ち寄ったんだったけ。確か…「米でも炊いてみるか…それってなんか1人暮らし~って感じがするよね~。」
何だそりゃ。そんなのアパートのドアを開け、暗くて寒い6畳一間の部屋に明かりつけりゃわかるようなこと。
まぁ、そんなことを考えてたら、たまたま、そのスーパーが目に止まっただけのこと。
そして、レジを打つ彼女に、目が止まっただけのこと…。
1年近くが過ぎ、「いつも、いらっしゃいますね。」奇跡的にも、向こうから声をかけてきた。(何故だろう?)
年齢は20代だろうか。(その頃の僕は19歳だった。)
いつも、近所の常連さんしかこない店に僕のような学生が…しかも毎日のようにくるのが非常に珍しかったようだ。
ナントなく話すようになった。あの頃の僕は、髪を伸ばし、無精髭。(あっ、これが目立ったためか!)決して人から話しかけられることはない容姿であることは、はっきりしていた。
彼女は人当たりのいい人。勤めていた会社をやめて、ここで、アルバイトをしているらしい。「人間関係や夢への挫折があったから。」と彼女は言った。でも彼氏がいるのか?と言った会話が話せない。
半年が過ぎ、その店で彼女に会う回数が減った。会話もかなり減った。そして、いつの間にか右手の薬指に指輪があった。
ある日、常連のおばちゃんが
「今週で、辞めちゃうの?」
「はい、そうです。」
「辞めて、どこ行くの?」
「名古屋です。旦那の仕事の関係で…」
全身の力が抜けていった。もし、僕に勇気があったら…。それは、お前が都合よく、そう思っているだけのこと…。
そう自分に言い聞かせながら、レジで夕飯の弁当を受取った。「別に、早く帰る必要もねぇか。」その日は、自転車を押して、ゆっくりとアパートに向かった。